36 翌朝 ページ40
____俺、何を話した。
昨日は久しぶりに外食をして、姉から1人暮らしをすると聞いた。
薄々思っていた。もうその頃だろうと。
それから____なんだっけ。
俺は一体何を話した。服は昨日のままでそのまま寝てしまっていたのだろう。
そしてここは俺の部屋。Aが運んでくれたのだろう。
「はぁ…。」
実は覚えている。何を言ったのか。あれは全部本音だ。本音を本人に吐き出してしまった。
____お酒、飲むのやめよう。
そう思った。姉の前では。絶対に。自分自身の中にルールを作る。そうだ、そうしよう。
「もう姉ちゃんに顔向け、出来ない…。」
俺はこの静かな部屋のベッドの上でじたばたと暴れる。
その時、コンコン…とドアをノックする音が聞こえてピタッと暴れるのを止める。
ドアをノックするのはいいとして、中にいる人の返事を聞かずにドアを開けて入ってくるのはどうかと思う。
「おはよう淳弥くん！ご機嫌いかがですか？あ、すっごい悪そう。」
俺がいるところが地獄ならば、姉は天国にいるのだろう。
入ってきた姉は幸せそうな顔をしている。対して俺は言わなくてもオーラからして悪いのだろうと姉の言葉を聞いて思う。
「大丈夫？昨日あんなにお酒飲んじゃって。」
「…大丈夫。」
「良かった良かった。」
ベッドの上に座っている俺の隣に姉は当たり前のように座る。
喋り方や雰囲気からして昨日のことはなかったことにされているのだろうか。
いや、もしや聞いていないのでは？と良い方向へと考える。しかし念のためだ。聞こう。
「…昨日の、聞いた？」
「え？ばっちり全部。」
うわあ。
「ちょっと！毛布に潜るの禁止！」
恥ずかしい。昨日のことを思い出して顔いっぱい熱くなるのを感じて毛布に包まって顔を隠す。
「本音聞けて嬉しかったんだよ？」
という言葉を聞いて目元だけ毛布から少しだけ出す。
「あんなに好き好き言われちゃってニヤニヤしちゃった！」
「うわぁ…。」
「なんでそこ引いちゃうの！？」
引いている感じに捉えられたが、こうでもしないと照れていることがバレてしまう。いつも通りに戻ろう。
それから部屋を出る前に姉はこう言った。
私、駄目なところが多いから。
だからこれからも淳弥のこと、頼りにしてるね。
何か困った時があったら助けてほしいな。
と。
目元がじーんと熱くなるのを感じた。
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作者名：のん
| 作成日時：2021年10月17日 10時
