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31 離れていく ページ35

昔はもちろんずっと一緒だった。



小学校、中学校、そして高校も同じところへ行った。


別に高校は家との距離で決めていたので、姉がその学校に行っているから同じところへ行きたいとは考えていなかった。




高校では学年は違ったのであまり会わなかったが、廊下ですれ違う時があれば向こうから喋りかけて来た。






「淳弥ー!」

「…。」






俺が特に反応することはなかったけれど。








 

体育祭では、部活対抗リレーというものがあった。姉は女子バレーボール部の中でアンカーだった。

とにかく部員たちは姉が好きであることは目に見えてわかった。



そして見事に部活対抗リレーは女子バレーボール部が1位を取った。






「やったー!」

「先輩!凄かったです!」

「1位だー!」






わいわいと皆が姉を囲んでいる姿は見ていてとても微笑ましいものだった。やっぱり笑顔が1番だなと感心していた。



しかしあの活躍を見て、一部の男子生徒は“あの女子は誰”とざわざわしているのは感じ取れた。俺の姉ということはクラスメイトは知っていたけれど。






それから少しずつ異性にモテていったと思う。

バレンタインは同性からのが圧倒的に多かった。姉は渡す側ではなく貰う側だ。






学校では特に接点もない。向こうの恋愛事情に首を突っ込むわけにはいかない。

でも、モテていく姉がどうしようもなく見てられなかった。

それは嫉妬という感情が大きかった。








 

昔から、小さい頃からずっと一緒だった姉がだんだん離れていくような感覚に陥った。

いつか大人になったら、俺のことは気にせず自分の人生を歩んでいくのだろうと思っていた。



でも。






「今日から一緒に住む。」

「は?」






あの時ああいう反応をしてしまったが、俺のところにやってきたのは心底嬉しかった。

てっきり彼氏のところかなと思ったけれど、数年前の“あのデマ”があってからその可能性はなかった。








 

最初は昔のようにほとんど俺を頼っていた。






しかし今は。

変わろうとしている姉が嫌だった。


そのままでいいのに。
苦手なことは無理して出来なくていいのに。


俺をずっと頼ってよ。




 

今もまた、離れていく感覚に陥った。

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作者名:のん | 作成日時:2021年10月17日 10時

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