22 痛い ページ22
「うぅ…。」
お腹が痛い。いわゆる生理痛である。
先程薬を飲んだが、効くまでに時間がかかる。
今日は、仕事は午前中だけだ。頑張ろう。
「ごめんA、俺先に出るね。」
「うん！いってらっしゃい！」
今日も彼は忙しそうだ。
私よりも先に家を出て行った。バタバタと急いでいたが、電車には乗らずに散歩をしてスタジオに行くのだろう。
私も散歩をしようかな…と思ったけれど、お腹が痛くなる。
…散歩をするなってことだね。
＊
午後。榎木A、無事帰宅。
仕事はいつも通りうまくいった。
「ひぃ…。」
薬を飲んでも痛いものは痛い。
私の場合、生理痛は酷い方だと思う。
「少し…寝よ、ぅ。」
私は、服はそのままでベッドで横になることにした。
____数時間後。
「……ん。」
「あ。起きた。お腹の調子はどう？」
目を覚ませば、天井…ではなく淳弥くんの顔が視界に入ってくる。
「な、なんで…。今日は夜まであるんじゃなかったの？」
「頑張って終わらせてきた。」
今日は夜まである、と言っていたのに、どうすればそんなに早く終わるのだろうと不思議に思うが今はそれどころではなかった。
私の体勢が違った。あと服も。
服は部屋着になっていた。
「…服。」
「あのままじゃシワになると思っていつもの部屋着にしといた。」
「…見たの。」
「？まあ。」
服が違うということは、見られた。
「下着がく______。」
「…。」
「すみません。」
まだそういうことはしていないので、恥ずかしさはある。
「でもいつかは見るでしょ？」
何が、と言っていないのにわかってしまう自分がいて恥ずかしい。
こういうところは恋愛漫画などで知識という知識はついている。
服のことで頭がいっぱいになったけれど、
「なんでお腹ってわかったの？」
先程彼は“お腹の調子はどう？”と聞いてきた。
「girl's dayでしょ。」
「なんで某元英語の教師みたいに発音よく言ったの。」
「ふふっ。」
隠していたつもりだったけれど、バレバレだったみたいだ。
「…うん。生理痛が酷くて。」
「今日はゆっくり休んで。ご飯とか俺が全部するから。」
「ありがとう。」
私の体温を測るように、彼は私の頬に触れて優しく撫でた。くすぐったかったけれど。
でも淳弥くんの手は冷たくて気持ちよかった。
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作者名：のん
| 作成日時：2021年8月15日 19時
