39 当日 ページ39
平日だったため、お互いに仕事であった。
私は急いで帰宅し、家で料理をしていた。
それからリビングに入って帰宅した淳弥くんは「良い匂いがする」と小声で呟いて口角を上げていた。
そして、ご飯の準備ができた後。
「お誕生日おめでとう淳弥くん!」
私はクラッカーを鳴らしてお祝いをする。
「無駄にテンション高いけど疲れない?」
「疲れた。」
テンションあげあげでいこうとしたけれど少し疲れた。
私と淳弥くんはいつも通りに「いただきます」と声を合わせた。
「どう?」
「美味しい。」
「やったー!」
ハンバーグを口にした彼の表情は格別だ。
カシャッと写真を撮る。
こういう時「やめろ」と言っていた彼だったが、今日は「撮って良いよ」と優しい。
*
片付けをし、お風呂に入った後。
ソファに座り、私から話を切り出す。
「あのね、こういうことをする年齢じゃないことはわかってるの。」
「うん?」
「淳弥くんはこの前欲しいものはないって言ってたよね。」
「…そうだね。」
彼が言っていたことから頭を悩ませていたけれど、ちゃんとプレゼントは用意をした。
これはインターネットを調べて…だけど。
「だから決めた。誕生日プレゼントは私!…なんちゃって。」
「…。」
自分で言っててすごく恥ずかしい。穴があったら入りたい。
聞いた彼はなぜかクッションを持って顔をうめて何も言わない。
「やっぱり馬鹿だよねごめんさっきのは取り消して。」
1人だけ顔が真っ赤と思っていたけれど、
「可愛すぎて死ぬ。」
「キャラ崩壊すごい。」
なんと彼も真っ赤っか。
するとその時だった。
「え、」
クッションを手放した淳弥くんはぎゅっと私を抱きしめてきた。
お風呂上がりだったのでふんわりと彼の匂いがする。
「こういうの付き合ってる人がするでしょ。もう俺たち結婚してお互いのものになってるのに。」
「あ。」
「本当に…俺たちって時間の流れがおかしいな。」
「!」
腕が解かれ淳弥くんの顔を見てみると、あはは、と思いきり声に出して笑っていた。
これはこれで良かったのかもしれない。
「でもさっきのは取り消さない。」
「…は。」
「“プレゼント”だもんね。」
「…本当にこういうところ怖い。」
前言撤回。良くなかった。
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作者名:のん | 作成日時:2021年8月15日 19時