家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

傷傷傷傷 ページ15

「…柚木、くん…？」









　
私からして左に、1人の男の子が立っていた。同じクラスの柚木くんに似ていたが、少し違うと思った。









　
「あ、俺はねーあまねと双子なんだー。俺はつかさ！君は？」


「私は…柚月、A。」









　
柚木くんが双子だなんて初めて知った。とても似ているけれど、どこかオーラが違った。


なんとなく、私にとって苦手な感じの子だ。









　
「そう、Aね！Aはそんなに怪我をして……まさかいじめ！？」


「…っ。」









　
私の、今のボロボロになっている制服を見て“いじめ”と思ったのだろう。確かにいじめという言葉がぴったりなのかもしれない。









　
「そっかー。あ、顔怪我してる。えーっと…。」


「？」









　
そっと頬を触ってみると、確かに傷があった。少し手に血がついてしまう。


彼_______つかさくんはズボンのポケットの中に手を入れる。









　
「はい！絆創膏。あげる！」


「あ、ありがとう…。」









　
ポケットの中には絆創膏が入っていたらしく、私に渡してきた。素直に受け取る。そしてペタッと頬に貼った。









　
「…。」


「？」









　
するとつかさくんは、私の方に近づき、しゃがんでいる私と目を合わせてくる。


更に彼の手が伸びて、私の頬を包み込んだ。









　
「お人形さんみたいで綺麗だね！じゃあね、A！」


「う、うん？」









　
つかさくんからもお人形、と言われてしまった。そして彼は走って行ってしまった。









　
あぁ。その言葉で、最初の出会った時のことを思い出してしまう。









　
伊月に、最初に言われた言葉。正直にいって嬉しかった。






　
でも今では________大嫌いだ。嫌い。





その言葉も。伊月も。

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