家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

水水水水 ページ16

翌日。嫌がらせはエスカレートしていった。放課後はいつも体育館裏に無理矢理連れてこられる。




　
今日は、バシャーンとバケツに入った水をかけられてしまった。







　
逃げたかったけど、今日は男子もいて両腕を捕まえられた。女子の力では振り解けなかった。









　
「…。」









　
スカートのポケットの中には小さいハンカチ1枚だけ。これだけでは水分は少ししか吸えない。


ずぶ濡れの状態で帰ってしまったら、お母さん達は驚くだろう。









　

「あー！Aだ！」


「！？」









　
しかし、また彼の声がした。そう。鞄を持ってつかさくんは現れたのだ。


私の姿を見て、パァッと明るく笑顔になっている。









　

「またいじめられてたの！？…ってずぶ濡れじゃん！」


「…。」









　
“また”と言われた。弱い自分が情けない。抵抗してもっと怒らせてしまうというような考えがずっと浮かんでいるのだ。









　
「んーっと…はい、これ！使って。」


「…タオル。」









　
つかさくんは鞄の中をガサゴソと探り、手にしたのは1枚のタオルだった。綺麗なまま。

つかさくんは私の頭にポンとタオルを乗せて、









　
「じゃあ“またね”、A！」


「！あ、」









　
この場を去って行った。つかさくんは“またね”と言った。また、会えるのだろうか。









　
「これ、返さないとね…。」









　
会えるのだろうか、じゃない。








　
______会わないと。





洗濯をしてタオルを返さなければならない。また、“会えるんだ”。

消消消消→←傷傷傷傷

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す