ミえるヒト。【地縛少年花子くん】 (ページ7)

今日:39 hit、昨日:67 hit、合計:541,618 hit

七ページ7

「零下さん！」

「！」

「あ、ヤシロ。」

　
重たい、すごく重たい空気を変える声がした。

確か、この子。クラスの人だったような。

　
「だ、大丈夫だった！？」

「え？」

　
彼女は息を整えながら、目を合わせて喋ってくる。

　
「いや、あの…顔色悪かったから…。」

「…心配、してくれたの？」

「う、うん！当たり前じゃん！」

　
“当たり前”。その言葉がどれだけ重い言葉なのか。

良い子だなぁ。

　
「あっれー？俺のことは無視ですか…。」

「！？」

　
完全に空気になっていた、彼。

　
彼は私の後ろに行き、首をグッと締められ、身動きが出来ない。

　
「…ってあれ？この子に触れる…。」

　
自分からこんなことをして何に驚いているんだ、彼は。

　
「は、花子くん…！？」

　
すると、彼女は“花子”と口にして慌てている。

　
「花子？」

　
と、私は口にする。

　
「え。」

「え？」

　
…いやだからなんでそんなに驚くの。

　
＊

　
「彼はトイレの花子さんなんだね。」

「花子くんって呼んでもいいよー。」

　
ふよふよと彼は空中で遊んでいる。

　
先程、八尋さんから彼のこと、もちろん彼女の事情も聞いた。