二十九 ページ29
結局、私は病室には入らなかった。
意識不明らしいので、目を覚ましてから明るい顔を見よう。
果たして、親は意識を十分に保っていけるのだろうか。
愛している子供が、入院するなんて誰も思っていなかった。私だってそうだ。
こんなにも、日常が非日常になるなんて。
未来を知りたい、と思っていてもこのような残酷な現実があるのだから、知りたくても知りたくないだろう。
*
朝。Aが登校する時間。
俺は教室でスタンバイしていた。いつもはAが来てから俺が来るけど今日は逆。
「お。」
そそくさとやってきたA。しかし、様子がおかしい。顔色が悪い。
「おっはよーA!」
「…。」
返してくれない。
「おーい?」
俺は彼女に顔を近づける。
「!お、おはよ。」
「…。」
一瞬驚いてやっと返してくれた。昨日何かあったのだろう。
ここまで違ってくると、やはり家族のことで何かあったのか。
聞き出してみよう。
、
、
、
とは言ったものの、放課後になるまで俺は大忙し。
仕事、仕事、仕事尽くし。疲れるものだよ、七不思議は。
仕事のせいで、休み時間や授業中の様子は見れなかった。
しかし、ちゃんとヤシロから相談を受けた。
________Aちゃん、すごくぼーっとしてて…。何か悩んでるっぽいの。私が聞いても、全然答えてくれなくて…お願い!花子くん!
と。
あのヤシロの慌てようから、結構酷いようだ。
こういう時こそ、俺が行動しないでいつ行動するのだ。
「頑張るぞー!」
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作者名:ノン | 作成日時:2020年1月26日 18時