【d!】さざ波が立つ【合作企画】 (ページ13)

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「……ッなに？」
その声を聞いたのは久しぶりのような気がして、否、挨拶位はしてたからそうでもない気がして。でもどちらにせよ驚いたのには変わりはなくて。
慌てて返事をしたが、きっと不自然になっているだろう。

しかし、そんな私を気にせずに彼は私の方をくるりと向いた。
綺麗な水色の瞳と目が合うその時、「あ、海だな」と思った。

なんて呑気なことを考えているが、本当のところはドキドキである。
何故なら、さっきから彼が一言も話さないからだ。

逆光が彼の顔を少し暗くして表情はうまく読み取れない。しかし、水色の瞳だけはキラキラと煌めいていた。

もしかしたら別れ話だろうか。それならなんとロマンチックな別れだろう。素敵だ、素敵だけど。やっぱり私は、

「ああ、好きだなぁ」
「…は？」

しまった、と思った時にはもう遅い。発せられた声は、しっかり届いていてしまった。その証拠に先程彼から発せられた「は？」がずっと頭から離れない。

そりゃそうだよな、と私は脳内で私を自嘲した。突然「好き」だなんて言われたらびっくりする。それも…これは憶測だが、別れ話をしようと思ってる彼女に言われたら、そりゃもう驚き通り越して怖いだろう。
ここは冷静に謝ろう。

「ごめん、ちが「好きや」……え？」

謝罪の言葉を突然の告白で遮られ、あまりのことに冷静になれないのは許して欲しい。

「まって」
「好きや」
「ねぇ」
「好きや」
「……コネさん？」
「ほんまに…好きなんや」
「おちついてってば」
「お前の前やと、なんも話せんくなる」
「だから」
「やけど好きや、愛してる」

次々と謳われる愛の告白に、冷静もなにもなくなる。なにも考えられなく、ただ「おちついて」としか言えない私を、コネさんの瞳は真っ直ぐと捉える。

「なぁ、お前は、俺のことすき？」

ジリジリと蝕むような熱、ここは海だと、夏の海だと思い出させてくれるような。まるで体の穴という穴から何かがでていくような、そんな感覚。

君の余裕のなさそうな顔、そのわりにはしっかりと見つめてくる海の宝石のような瞳、そして、逃がしてくれないとでも言いたげな手。

ああ…嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ！

そんな顔されたら、頷くしかないじゃないか。