見えるから見ないだけ Ⅲ【呪術廻戦】 (ページ38)

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番外編七海建人の持つ持論ページ38

※32話で鞍久が笑っていた理由の話

「A、なんであんな笑ってたの？」

助け船くらい出してくれてもいいじゃん、と拗ねる悟に鞍久が微笑んだ
彼女はなんだかんだと悟に甘い節がある

普段だったら多少のフォローは入れていただろう

『七海さんにとって、【あの時】は特別だったんだと、改めて思ってね』

「いつのこと？」

それでも何もしなかったのは、彼女が話を聞けていなかったからに他ならなかった
臨機応変、温厚質実、懇切丁寧などなど
彼女の性格は多方面から褒められている

だと言うのに一体なぜ聞けていなかったのか

楽しそうに質問する悟は先程まで拗ねて口を尖らせていたとは思えない
既にいつも通りだった

ここでキレても誰も怒らないに違いないが、彼女は当然のようにうなずいて、悟と目隠し越しに目を合わせた

『ほら、少年院のとき私は七海さんと任務だっただろう？』

「そうだっけ？」

『うん、川崎市で任務だったんだ』

「恵に【来てた】って聞いたけど、そのこと？」

こくんとうなずく
そう、その時だ

『規定を守る側って言ってたからね』

鞍久はそう言うと、窓の外に視線を移す
校庭では恵と野薔薇が２年生たちにしごかれているところのようだった

『同級生ってことだとしても、そこに悠仁が含まれてることが嬉しかったんだ』

同級生たちを見つめて鞍久は笑っていた
まだ、本人だって気づけていないだろう

【七海建人の持論】が持つ矛盾

鞍久にならうように外を眺めて、じんわりと悟が口角を引き上げた