見えるから見ないだけ Ⅲ【呪術廻戦】 (ページ33)

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「Aさん」

『なんだい？』

顔を上げた彼女は、きょとんと首をかしげた
七海には分からないものを見ているのだとしても、なにも変わらない

導かなくてはいけないことに変わりはないのだ

「おそらくですが、残穢は私達にも見えるものです。あなたの視界だとかなり色濃く出ているのではないですか？」

『うーん、じゃあコレじゃないかな……』

控えめな仕草で指差す先には何もない
七海が首をふる

『こっちかい？』

「いや、違いますね。……残穢は呪力の残ったものです、呪霊と性質が近くなおかつ色の濃い跡はありませんか？」

『なるほど！これだね？』

またしても何もないところを指差していたが、七海に詳しい説明を受け、条件と一致するものがあったらしい
納得したように手をたたき、指で示す
その先には確かに残穢が見えた

「はい、正解です」

ほっとしたように肩の力を抜き、鞍久は笑う

「見えすぎるってこともあんのな」

「Aさんは特殊過ぎますから気にすることはありません」

２人が話していることに多分鞍久は気づいていないだろう
じーっと床のカーペットを見つめている

『うん、いい感じかも。多分調整できたよ』

突然立ち上がって、彼女は親指を立てた