見えるから見ないだけ Ⅲ【呪術廻戦】 (ページ20)

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「Aー、いるー？」

騒音、もとい心配の声をあげながら入ってくる悟

『いるよ』

「よし、あ、悠仁も元気？」

「俺おまけ？元気元気」

悠仁と顔を見合わせ、鞍久が返事をする
ちょうど階段を下ってきているところだったので顔は見えなかったようだ

悟の言い回しに悠仁が首をひねったが、当の本人は笑っているだけ
ホントに、性格が悪いと評されるだけある

「そうそうAは任務に行ってることになってるから。皆には明日帰る予定って言っちゃった」

その整った顔をフル活用してそんなことを言う
こういうときに限って目隠しは外してサングラスなのだからたちが悪い

悠仁は驚いたようだが人形に殴られていなかった

うまく調整出来ているらしい

『つまり、今日は泊まりかい？』

「そうそう、あ、僕もね」

満面の笑みを浮かべた悟に鞍久が微笑む
【悠仁と、悟と、映画と洒落こもう】

きっかり予言通りの結果になった

『なら、さっき途中で止めた【あの映画】の続きでも見ようか』

「あーあれ？」

悠仁に軽く視線を飛ばし、近くのDVDケースを渡す

「何々、僕だけ仲間外れじゃん！」

子供のように駄々をこね始めた二十八歳児を横目に２人が笑いだす
そう、これだから未来が見えるのも悪くない