好きだからだよ、綱吉くん (ページ2)

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・幼馴染のこと。ページ2

オレには幼馴染がいる。
近所に住んでいて、幼稚園くらいの時からちょいちょい関わっていて、小学生になって仲良くなったお姉さんみたいな幼馴染。

名前は小山奏。オレはカナって呼んでる。
カナは昔から、オレにとっては完璧な人で運動も、勉強もできるし、少しでも困ったなって思っていたら何も言わずとも助けてくれる。言わばヒーローみたいな子だ。

情けない話、オレはそんなカナのことをずっとお姉ちゃんだと思っている。

中学生になって好きな子ができた時も真っ先にカナに相談をした。身近に頼れる女の子はやっぱりカナしかいなかったし、なによりオレにとってのカナはやっぱりお姉ちゃんでなんでも相談できたからだ。

カナは大人っぽい。少し癖のあるウェーブのかかった黒髪は肩よりちょっと下くらいで、目は少し吊り目。右目の下のほくろもよく似合う。肌は白くて、眉毛はちょっと太め。笑う時は控えめに、口元を隠して微笑む。身長だってオレよりも高くて、クラスの男子はAのことが好きだけど、「恋愛経験豊富そうだし、大人っぽいから相手にしてもらえないに決まってる。」なんて言っていた。オレもそう思う。だから、カナに相談した。

けど、相談した時のカナの顔が、なんで言うか、ひどく困ってるような、諦めているような、悲しそうな顔をしてきて、オレは咄嗟に「あー、これはダメかも。」なんて思った。でもその後すぐにいつものカナの顔に戻って、「綱吉くんがもうちょっと京子ちゃんと仲良くなってみないとなんとも言えないね。」って言った。
京子ちゃんとカナと黒川は教室でもよく一緒にいて、仲が良いからもっと、「こうしたほうがいいよ」とか「京子ちゃんはこういう男がタイプだよ」とかそんなアドバイスをもらえると思っていたから少し不思議に思った。

というのもカナはオレに何か教えてくれる時は抽象的ではなく、すごく具体的にアドバイスをしてくれるのだ。例えば、走るのが遅いオレに「地面ばかり見て走っているせいで、背中が曲がってしまっているから遅いんだよ。」と言った後に「背筋を伸ばして顔を上げる。視線をまっすぐ進行方向へ向けて走ってごらん。」と言った。

そう言われてから走ってみて、「本当にオレ下向いて走ってたんだ。」ということに気づいた。
アドバイス通りに走ると、いうまでもなくタイムが少し縮んだ。それでもやっぱり遅いけど…。