転生したら美醜逆転世界だったけど元悪役令嬢は静かに暮らしたい

1 ページ4

今世はどうやら魔法を使うような非日常的な世界では無かったらしい。父も母も手から炎や水を出したり、箒や絨毯に乗ったりはしていない。ごく普通の家庭だった。

それよりさ。


･･･前世の私、酷すぎません？？？
何かが死んで(ニヤ)だよ！？多分あの女に嵌められたんだろうけどさ！？あそこであんな醜態晒す事ないだろ！？

恥ずかしすぎる。なんちゅう羞恥心。

えー、拝啓王子様。
私、A・ハートフォリアは今まで貴方様にしてきた数々の迷惑行為をここに謝罪いたします。大変申し訳ございませんでした！！！


はいこれでチャラね！！(ゴリ押し)
ではどうぞ王子様！！あの女と幸せになってください！！
そうして私は色々と自己完結し、すくすくと育った。



のだが。

「おい！A！！お前を僕のおよめさんにしてやろう！！」

「･･･は？？」

どうもこの世界、美しさと醜さに対する論理感だけがズレている。

私が元いた世界は、魔法がありきの所謂異世界であったものの、美に関する論理感は正常であった。
特に人に対しては、男性はサラサラの髪、切れ長の目、凛々しい眉毛･･･そう、あの王子の様な容姿が100％“ 美しさ ”の答えだった。一方女性は、大きくてぱっちりとした目、薔薇色の頬、形のいい唇･･･など、とにかく可愛いければ、美しいければ、美女の基準を満たしていたのだ。
しかし。





「･･･ぜっっったいやだ。」

この世界での“美”は、私の持つ概念の反対であった。つまりイケメンが、美女がブス。･･･という事だ。私でも何を言っているかよく分からない。

私に振られた奴は、自信満々にたゆませていた顔を歪め、なんで！？とでもいいたげにこちらを睨み、逃げていった。直ぐさま私の周りには同じクラスの女の子達が寄ってくる。

「ねえねえAちゃん！どうして〇〇君の事振ったの？あんな優良物件、この学校にはそうそう居ないよ？」
「そうよ！A君以上のイケメンなんて、この学校居ないでしょ！」


その子の言葉に、皆うんうんと揃えて首を縦に振る。いやおかしいだろ。あんなやつのどこがイケメンなんだよ！？ニキビだらけでボコボコとした顔。ボサボサの髪。そして何よりあの肥満体型。太り過ぎて首なんてないようなもの。目だって顔に肉が付きすぎて、正直開いてるのかも分からない。
オマケに声もガサガサ。(これはあんまり関係ない)

あれがこの学校一のイケメン！？普通にブスじゃん！！
しかしそんなことを言える雰囲気では到底無いので、私はその言葉を押し込んだ。

2→←Prolog2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す