第3話 爆豪の不信 ページ4
登校初日の昼休みと放課後は特に大変だった｡
クラスメイトの大半に囲まれては
あれやこれやとの大量の質問攻め｡
そのおかげか､あれから数日経った今では
そのクラスメイトの殆どと仲良くなることができた｡
クラスメイト全員の名前も覚えることができたし､なかなか順調なスタートを切れたと思う｡
しかし､私はとある1人の生徒と未だ会話すらしていないことに気付いた｡
主:｢爆豪って､どういう人?｣
麗:｢え?ばくごーくん?
うーん……野獣……や､猛獣?｣
耳:｢見た目不良｣
蛙:｢少し…いえ､結構近寄り難いイメージね｣
緑:｢い､いや!!…え､えと…か､かっちゃんは!
ちょっと怖いところもあるけど……｡
かっこいいところもあるよ!?｣
上:｢あ〜､アイツ!いきなり暴言吐いてくる
から気をつけた方がいーぜ!｣
通りすがりの爆豪の幼馴染み､緑谷のフォロー無しだと皆の印象は少々悪いらしい｡
まぁ､皆からの印象が悪かろうが何だろうが､
直接話してみないことには何も始まらない｡
私は席を立つと何の躊躇いもなく､行儀悪く机の上に脚を掛けて座る爆豪へと話し掛けた｡
主:｢ねぇ､爆豪｡ちょっといい…｣
爆:｢あ”あ?｣
主:｢あれ､聞こえなかった?…んじゃ､もっかい｡
ねぇ､爆豪｡ちょっといい…｣
爆:｢聞こえとるわ!!…んだよ､てめぇ｣
主:｢あ､ごめん｡……で､話すの初めてだよね?
せっかくだから少しくらい話してみたいな
と思って｣
爆:｢…………｡｣
私がそう言うと､爆豪は黙ってこちらをいくらか
睨むようにじっと見てすぐにそっぽを向いてしまった｡私は思わず小さく首を傾げる｡
主:｢?………爆豪?｣
爆:｢るせぇ｡……まともにてめぇの名前も
名乗れねぇヤツなんかと話すもクソもねぇ｣
主:｢名前?｣
あれ…私､この間自己紹介しなかったっけ?
私がますます爆豪の言う事を理解できなくて
頭の上に疑問符を並べていると､爆豪の近くにいた切島が何か思いついたように小さく声を上げて私を見た｡
切:｢あっ､そういや……お前の苗字､知らねぇな｣
切島の言葉に､その場にいた他のクラスメイトも
皆納得するように｢確かに｣と言って頷き合う｡
あ､やっぱりそこは誤魔化せないか?
わざと言わないままでいた自分の姓は､やはり
皆気になるらしい｡
爆豪に関しては､どうやら私のその行動に不信感を抱いているようだ｡
……ここで､変にクラスメイトに怪しまれるのは
あまり好ましくないな｡
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作者名：汐乃 | 作成日時：2018年8月15日 18時
