第1話 1-A最後の1人 ページ2
─緑谷side─
国立雄英高等学校ヒーロー科｡
数々の大物ヒーローを排出してきたこの養成校に入学して数日目｡
入学初日からの個性把握テストや突然の戦闘訓練など､この数日だけでもこれまでにないほど
濃密な時間を過ごせたように感じる｡
僕､緑谷出久はそんなことを考えながら
気怠げに朝のHRを進める担任､相澤先生の話を
聞いていた｡
相:｢で､今日の日程は────｣
ガラッ!
突然､相澤先生の声を遮ったのは教室のドアが勢いよく開かれる音｡
僕達は反射的にそちらの方に視線を移す｡
｢ふあ………ん､ねむ｣
声からして…おそらく女子｡
しかし､頭にフードを被っていて
顔はまったく見えない｡
突然､HR中に教室へと乱入してきた人物に
クラスの皆は思いがけずどよめき立った｡
出:｢あ…あれは…?｣
上:｢おっ?…誰だあれ?遅刻?｣
飯:｢むっ!遅刻だと!?｣
切:｢いや､でも…あんな奴いたか?うちのクラス｣
麗:｢んー…顔､見えないね〜｣
教室内がザワつく中､教壇に立つ相澤先生は
いつもの気怠げな無表情を貼り付けた顔を微かにしかめながらその人物に視線を寄こして､
言った｡
相:｢………昼に来い､と言ったはずだが｣
｢ん…?ああ､どうにも待ちきれなくて｡
私も早くクラスに馴染みたいし｡
いいだろう?先生｣
相:｢ふざけるな｡……個性把握テストは?｣
｢ひどいなぁ｡あ､なんちゃらテスト?
終わった､終わった｡あと……ほい､これ｡
この書類は担任に提出なんだっけ?｣
彼女は手に持ったいくつかのプリントを相澤先生に手渡すと､くるりとこちらを振り向き､教室全体を見渡した｡
｢へぇ……私も含め､育てがいのありそうな
子ばかりだな｡先生｣
相:｢はぁ……黙れ｡とりあえず頭のそれ取って
顔見せろ｡んでさっさと自己紹介｣
｢はいはい｣
そこでようやく彼女の素顔が晒された｡
まず目に入ったのは､艶やかな透明感の溢れる
綺麗な白銀色の髪｡
そして､肌は白雪のように白く､こちらを面白そうに見据える瞳は宝石のような琥珀色だった｡
｢はじめまして｡
あいです｡今日からどうぞよろしく｣
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作者名：汐乃 | 作成日時：2018年8月15日 18時
