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K.N
中｢行ってきまーす。｣
いつも通り、もう何年も返事の返ってこない挨拶をする。
いつも通り、ガスと電気と戸締りの確認も済ませてある。
いつも通り、もうすっかり習慣になった時間に家を出た。
いつも通り、一戸建てが立ち並んだ住宅街を進んで行く。
いつも通り、早くも遅くも無いような速度で歩いて行く。
いつも通りじゃないのはここからだ。
中｢山田くん！｣
そう呼んだ声に振り返って、俺のことを見つけてにこっと微笑んでくれた。
山｢おう、さっきぶり。｣
中｢…さっきぶり？｣
山｢久しぶりでもねえし、おはようでもねえし、さっきぶりだろうが。｣
中｢あ、あぁ。｣
橋の下にある段差にちょこんと腰掛けていた山田くんは、制服姿だ。
昨日と今朝は部屋着なのかなんなのか、パーカーを着ていた。それはそれで似合っていたし可愛かったけど、山田くんが制服ってだけでちょっとなんだか………イイ感じ。
中｢タナカに飯食わせた？｣
山｢おー、俺と同じ時間にな。｣
中｢昼は？いらないんだっけ？｣
山｢まぁ、学校だしあげらんないしな。てか、朝お前に言われなかったら自分の弁当忘れてたわ。｣
カバンを漁ってミニバッグを取り出してプラプラと揺らして見せた。
……弁当な、わかったよ、弁当な。
満足げにふふんと笑い、またそれをカバンにしまった。結構無造作に。
中｢え、おい。そんな斜めに入れて大丈夫？弁当寄っちゃうよ。｣
山｢んな大したもん入ってないけど。｣
中｢それならいいけど、…そんな事言ったら作った人に失礼じゃない？｣
山｢自分が自分に失礼なことが未だかつてあったかよ。｣
｢は？｣と意味がわからない俺に｢は？｣と返して眉をひそめた山田くんは、料理が得意な所謂｢料理男子｣なのだそうだ。
料理ねえ、料理。
中｢あ！｣
山｢っるせえな、なに？｣
中｢いや、よければ料理教えてもらえないかなーって思ったんだけど…。｣
山｢あー……いつかね。｣
中｢よっしゃ、ありがと。｣
山田くんを家に呼んで、一緒に飯を作って食べて、母さんが少し楽になる。
山田くんと一緒に飯作れて食べられて、その上母さんに紹介できるなんて一石二鳥ならぬ一石三鳥だ。
わかりやすくテンションが上がった俺に冷たい視線を送る山田くんは、朝も瞳が綺麗で可愛かった。
俺的山田くんのイチオシパーツは瞳ですから。
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はる(プロフ) - 1番大好きな作品です！作者さんのことも気になってしまうぐらい好みの作風で、こんなに素敵な作品に出会えてとても幸せです！いつかまた幸せなknymちゃんが見れる日を楽しみにしています！ (2020年7月28日 23時) (
レス) id: 2fd3fc28ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠雨
| 作成日時：2018年5月30日 1時
