両手に花 ページ30
K.N
ある日の放課後、一人で教室で侑李を待っていた。
委員会なんだってさ。
(おそらく)急いで教室に来る侑李なんてレアだ。体当たりもするのかな。
想像したらニヤけが抑えられないから、両手で顔を覆い隠していた。
ガラッ…
ドアが開いた音がしたからそのまま体当たりに構えていたのに、なかなか来ない。
｢ぐ、具合でも悪いのっ？｣
その代わりにテンパったような声が聞こえて、思わず振り返った。
そこにいたのは紛れもなく大好きな彼で、その声の懐かしさについ涙が出そうになってしまった。
中｢えっと…体当たりに構えてただけ。｣
山｢え、体当たり……？｣
中｢体調良すぎるし、大丈夫だよ。｣
山｢そ、そう。目眩でもしてるのかと思った。｣
ぶっちゃけ目眩がするなら君と久しぶりに話しているこのタイミングだと思うけど。
そわそわした雰囲気を身に纏った委員会終わりの山田くんが席に座って、こちらに身体を向けた。
山｢あの、久しぶり、だね。こうやって二人きりで話すの。｣
中｢…そうだね。｣
山｢俺は、……早く話したいなって思ってたよ。｣
中｢俺だって、｣
｢健人！｣
山田くんと話さなくなってからすっかり耳に馴染んだ声が、俺を遮った。
中｢…侑李。｣
知｢へへ、お待たせ。お話中だったから体当たりやめといた〜｣
山｢あ…｣
知｢お、山田くん。｣
ドアを閉めて足早にこちらに来て当たり前だと言うみたいに俺の膝に座った。
当たり前っていうか、もはや定番になってしまったんだけど。
山｢あの、｣
知｢んー、なに？｣
山｢今、俺、健人と話してたんだけど…｣
知｢どうぞ、続けて？｣
山｢えっと……｣
困り顔の山田くんと目が合って、俺の頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされた。
侑李ってこんなに塩対応だったっけ？
そういえば、前に山田くんが｢健人と話したい｣と言って来た時も侑李がそれを断っていた。
どれだけ頼まれても嫌だの一点張りで、結局山田くんとは話せずじまいだった。
もしかして侑李、山田くんに意地悪なんじゃないの。
中｢…今話せないことなら、時間決めて二人で話さない？｣
山｢いいの？｣
中｢侑李もそんな意地悪しないの。…どうする？｣
知｢……。｣
山｢…えと、｣
知｢っ健人が好きなの！｣
立ち上がって涙目でそう言った彼と、戸惑っている彼が交互に視界に入って思わず頭が痛くなった。
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はる(プロフ) - 1番大好きな作品です！作者さんのことも気になってしまうぐらい好みの作風で、こんなに素敵な作品に出会えてとても幸せです！いつかまた幸せなknymちゃんが見れる日を楽しみにしています！ (2020年7月28日 23時) (
レス) id: 2fd3fc28ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠雨
| 作成日時：2018年5月30日 1時
