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「あの人が大好きだった人?」
グラスを拭きながら顔も上げずに増田くんは尋ねる。
『よくわかったね』
「顔見たらわかる、Aちゃんのことならなんでも」
目が合ってにっこり笑うのに何故か悲しそう。
いつもそう、笑うのに悲しそうで寂しそうで一緒にいても増田くんはいつも孤独と戦ってるような、そんな感じがする。
ってのは私の妄想にすぎないかもしれない。
『なんでもわかるの?』
「わかってるつもりなだけかもしれないけど、」
自信の無い増田くんを見たのは初めてな気がした。
なんだか歯切れが悪い。
『ありがと、』
その言葉は私の脳を介さず滑り出た。
そんな自分に動揺してしまう。
「ん?なにが?」
『え、っと、、いろいろ?』
滑り出てしまった言葉の回収は難しい。
増田君は少し照れ臭そうに笑って、「こちらこそありがと」と言った。
その意味は分からないけど。
「今日俺上がり早いから送っていく」
『えっ、いいよそんなの』
さっきまで働いていた人に送ってもらうなんて。
「ダメだよ、送らせて。女の子なんだから。」
引き下がらない増田くんに負けた。
こういうのを断れないところが私のいけないところだと思う。
押しに弱いというか、断れないというか、気持ちが言えないというか、、、、。
てか私、まだ女の子なんだ。
って、どこに引っかかってんのやら。
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はるつぁんこ。 - Twitterから書き終わりましたのツイートを見て飛んできました!!もう最高すぎて……もうありがとうございます!!!!! (2022年5月8日 0時) (レス) @page43 id: 46806adbbf (このIDを非表示/違反報告)
ZAVdy3wfTqOL6Rh(プロフ) - もう本当に最高でした!!増田くんの可愛さに終始やられてました。 (2022年5月8日 0時) (レス) @page43 id: 62e21974b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばりぃ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kmk_valley
作成日時:2021年8月28日 11時