黒色くんと八色の話。２【ﾚﾝﾒｸﾞﾛ】 (ページ13)

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阿部さんの家で一緒に生活をするにあたって、いくつかの約束事を決めた。

阿「俺の事は下の名前で呼ぶこと。」

なんて超ハードルの高いことも決められる。

しばらく渋っていたが、

阿「へぇ、呼べないか。」

顔は凄く笑ってるけど、抑揚のない声で言われれば拒否はできなかった。

どうにか「亮平くん」と呼ぶことで許してもらう。

満足そうに笑う阿部さ…じゃなくて亮平くんのスマホが鳴った。

電話の相手は多分岩本さん。

阿「今から照が来るって。」

『蓮のことですか？』

阿「うーん、たぶんね。大丈夫？寝室行っとく？」

正直気は乗らないがいつかは解決しなければならないことだ。

大丈夫です、と返事をする。

阿「照が来る前に顔洗っておいで？俺が泣かせたって思われちゃう。」

フワフワのタオルを渡される。

洗面所の鏡に映るのは、少し目が赤い私。

ほぼすっぴんの顔面に冷たい水を当てる。

タオルで顔を拭き顔を上げると、いつの間にか後ろに立っていた亮平くんと鏡越しに目が合った。