. ページ10
｢なら､一緒に帰りましょ？こんな夜中だと怖いですし｣
なら2時にうろつかないでよ…
可愛いなと思いながら､Aの隣に立つ｡顔を覗き込むと､少し青がかった瞳には鮮やかさが見えていた｡
｢良いよぉ♪その代わり､ぜっーたいに僕の事忘れないでねっ！｣
唇に指を当て､ウィンクをかます｡あざといぐらいが丁度良いんだよねっ！
Aは頷きながら､乱数に目線を向けた｡
｢大丈夫だよ､私は乱数さんの事を忘れてませんよ｡ずっと前から｡｣
そう言ったAは元気にはにかみ､可愛らしく笑顔を見せた｡
心臓が軽く飛び跳ねた｡破壊的な笑顔に身体がゾクゾクした｡
｢そ､そっか！ずっと前からって言ってたけど､いつから知ってたの？TheDirtyDawgぐらいから？それとも…｣
嬉しくて､声を張り上げながら話を進めるとAが口を静かに開いた｡
｢いえ､寂雷先生からお聞きしましたので｣
｢…え？｣
すらっと放した言葉に身体が固まった｡
"寂雷"その人物はAに一番言って欲しくなかったのに｡
｢寂雷先生が｢飴村乱数という人物にはあまり関わらない方が良いですよ｣って言われて､そこから好感度は高くなかったんですけど､初めて喋って意外と楽しい人なんだなって思いました！｣
軽快に喋るAに顔が青ざめる｡
そんな事をジジイから聞かされてただなんて､有り得ないと思ってしまった｡
呆然とする僕にトドメを刺すようにAは細めた目で僕を見つめて､
｢だから､貴方は事は知っていますけどあまり好きではありません｣
と､優しく微笑みかけてきた｡
｢そ…か……ごめん｡先帰る｣
｢えっ？何でですか！？｣
僕は逃げた｡｢あまり好きではない｣｡その言葉があまりにも重すぎて､辛すぎて｡
暗がりの住宅街を駆け抜け､家へと到着した｡震える手で鍵を取り出し､扉を開けるとすぐさま洗面所に向かい､大量の水で顔を洗った｡
走ってきて荒くなった息を整えた｡だけど目からは水とは別に涙が零れ落ちていた｡
失恋と同じ気持ちだ｡嫌われて､振られて､Aには寂雷が居る｡
あいつがAに僕の存在を教えたせいで｡あいつが自分の勝手な印象をAに押し付けて｡
あいつが悪いんだ､全てが悪い｡
そんなの僕が助けてあげないと｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 277人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやりな(プロフ) - ACNEさん» 続きはどんどん更新中だからねっ！早く読んで僕の活躍を見ててね！これからもー応援よろしくねーっ！ (2019年8月19日 15時) (
レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
ACNE - 続きがまちどおし((…ﾜｸﾜｸ(#´∀`#) これからも頑張ってください！ (2019年8月19日 14時) (レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - まふさん» そーなのー！？それはショック…ってそんな訳ないよ！これからもっと僕の事を好きになってよ！僕も君のこと大好きだからさ！またお話しよ！ (2019年7月17日 17時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
まふ(プロフ) - コメント失礼します。らむださん最初はあまり好きではなかったのですがこの小説みてからとっても好きになりました！これからも更新頑張って下さい (2019年7月17日 16時) (レス) id: b1440280f1 (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - 叶夢さん» おねーさん､僕の事応援してくれるのー！？ありがとうー！ぜっーたいに！君の事､奪いに行くからねっ！待っててよぉー！ (2019年6月16日 11時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやりな | 作成日時：2019年5月14日 21時
