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ジジイは眠った女を背負い、会計を済ませると外へ出ていった。
扉が閉まるのと同時に僕は立ち上がり、外に向かった。
外に出ると人はそう多くは居なかった。酔ったサラリーマンがちらほらといるだけだ。
辺りを見回すと丁度、ジジイが女をタクシーに優しく入れていた。
その行動がやけにイラついた。
タクシーが進み始めるのと同時に僕はジジイに歩き始めていた。
早足で、自分の足じゃないような感じがした。
「あ、寂雷じゃーん!偶然だねー!」
いつもの調子でジジイに声をかけた
視線がゆっくりとこちらを見た。相変わらず見下げる感覚でこちらを見ているので話したくも無いのに…
「……飴村くん、嘘は見苦しいですよ。どうして盗み聞きなどしていたんですか?」
内心驚いた。やはりバレていたのか…
でも今は関係ない。さっさとどういう関係かを問い質して、デザイン作りに集中したい。
これでもジジイ相手にこんな態度は取りたくないんだ…
「まーまー!そんなのは後で話すとして、さっき
の女の人について知りたいんだけどー♪」
可愛くおねだりしても無駄な事なんて一番俺が知っている。素でやっても逆に答えなくなるだけ。
返答を待っていると小さなため息が聞こえる。ジジイの癖に生意気だ。
「どうしてAさんの事が気になるのかは不明だが…そう安易には教えられない事なんでね。君に話してしまうと彼女が怒る。私と彼女は馬が合うようで…」
どこか遠くを見て、微笑むジジイの顔は腹が立つ。しかも何だよ…教えないとか意味が分からない…
「意地悪いなー!ちょっとぐらい、いいじゃんかー!」
「悪いね、これだけは教えられないんだ。それに君に教える理由が無いからね」
頑なに理由を教えないジジイに嫌気が差してきた。
あからさまに聞こえるため息をジジイに向けて放ち、ジジイに背を向ける。
「あっそ!ならいいもんねー!自分の力で調べてやるんだからっ!あっかんべー!!」
「はぁ…そうですか…なら頑張って下さい。」
呆れたように目を細めるジジイに吐き気がする。
僕を舐めやがって…そんなに大切な女なのか……
絶対に暴いてやる。
懐に入れていた棒付きキャンディーの袋を開けて、口に入れた瞬間、噛み砕いた。
苦くて甘いレモンの味がした。
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あやりな(プロフ) - ACNEさん» 続きはどんどん更新中だからねっ!早く読んで僕の活躍を見ててね!これからもー応援よろしくねーっ! (2019年8月19日 15時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
ACNE - 続きがまちどおし((…ワクワク(#´∀`#) これからも頑張ってください! (2019年8月19日 14時) (レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - まふさん» そーなのー!?それはショック…ってそんな訳ないよ!これからもっと僕の事を好きになってよ!僕も君のこと大好きだからさ!またお話しよ! (2019年7月17日 17時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
まふ(プロフ) - コメント失礼します。らむださん最初はあまり好きではなかったのですがこの小説みてからとっても好きになりました!これからも更新頑張って下さい (2019年7月17日 16時) (レス) id: b1440280f1 (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - 叶夢さん» おねーさん、僕の事応援してくれるのー!?ありがとうー!ぜっーたいに!君の事、奪いに行くからねっ!待っててよぉー! (2019年6月16日 11時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりな | 作成日時:2019年5月14日 21時