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「はて、この声は寂雷さんでありんすね…乱数、大丈夫で…」
げんたろーの声が途切れた。顔を顰めて、日本酒を飲んだ。
理由は簡単、僕が明らかに不機嫌な顔をしている事だ。
自分でも分かってしまう。ジジイの事を考えると自然となってしまう。
「乱数ァ?大丈夫か?」
資料を見つめていた帝統が、急に静かになった乱数に首を傾げる。
メンバーまで心配させるなんてリーダー失格だなぁ…
「…何でも無いよっ!さ、始めよー!」
表情をぱっと変え、帝統を安心させるように声のトーンを上げる。
ふぅと一息着くと、資料を手に取る。どれもスタッフのみんなが頑張って作成した資料で、見応えがある。
構図を考える為に小さめのスケッチブックを取り出すが、ペンが進まない。
頭の片隅にジジイと女の声が鮮明に残っている。
んーと唸り声を上げていると、げんたろーが向かいの席から立ち上がり、僕の隣に座ってくる。
招くような仕草をし、僕がげんたろーに近づくと、肩を掴まれ、耳に吐息が掛かった。
「そんなに気になるなら、観察してきたらどうですか?そうでないと気が散りそうです。」
その言葉は辛辣で優しかった。
驚愕して、ゆっくりとげんたろーを見つめると、口パクで「お見通し」とウィンクをかまして呟いていた。
確かにこのままでは集中出来ない。僕は決心して、資料を机の上に置いた。
「ちょっと席外すねー!」
明るい、いつもの声を二人に向けて、廊下に出た。
この居酒屋は個室で、のれんがかかっているが、少しでも顔を覗かせれば誰か分かる。
両サイドから聞こえてくる騒がしい声を聞きながら、僕は一つ一つ丁寧に確認した。
15歩程歩いた所で銀髪のロングヘアが横目に見えた。
慌てて、その辺にあったベンチに腰掛けた。良く見てみると、女が真正面に座っている。
少しでも見て分かった──あれは美人だと。
お酒で酔っているのかとろんとしている目がどこか妖しい。
綺麗に塗られたリップは光に反射して輝いていた。
服装も今はスーツだが僕の服を着させれば、もっと、もっと可愛くなるはず…
そんなことを思いながら、スマホ片手にジジイと女の観察を始めた。
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あやりな(プロフ) - ACNEさん» 続きはどんどん更新中だからねっ!早く読んで僕の活躍を見ててね!これからもー応援よろしくねーっ! (2019年8月19日 15時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
ACNE - 続きがまちどおし((…ワクワク(#´∀`#) これからも頑張ってください! (2019年8月19日 14時) (レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - まふさん» そーなのー!?それはショック…ってそんな訳ないよ!これからもっと僕の事を好きになってよ!僕も君のこと大好きだからさ!またお話しよ! (2019年7月17日 17時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
まふ(プロフ) - コメント失礼します。らむださん最初はあまり好きではなかったのですがこの小説みてからとっても好きになりました!これからも更新頑張って下さい (2019年7月17日 16時) (レス) id: b1440280f1 (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - 叶夢さん» おねーさん、僕の事応援してくれるのー!?ありがとうー!ぜっーたいに!君の事、奪いに行くからねっ!待っててよぉー! (2019年6月16日 11時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりな | 作成日時:2019年5月14日 21時