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「な……嘘だよね?」
言っている意味が軽く理解出来ず、目を見開いて一郎に詰め寄る。
断る理由が見つからない。何に対しても断らない一郎がまさか……
「…ごめんな、こっちの都合があってさ」
一郎の目は僕ではなく違う所を見ていた気がする。いつもならオッドアイの目で笑いながら僕を見てくるのに…
それと理由が省かれているのが気になる。一郎は何でもはっきり言うタイプだ。曖昧にするのが一番、一郎が嫌いなのに…
「……分かった。今回は辞めておく…」
一郎が理由を言わないって言うことはそれ程、重い理由でもあるのだろう。なら素直に僕の僕から引くのが懸命だ。
僕が悲しそうにそっぽ向いて、口を噤むと、一郎も同じく悲しげな顔をする。
それ程重いのか…なら尚更だな…
「──すまねぇな、俺もこんなことしたくねぇんだが…」
その後が聞き取れなかった。口が動いていたのは分かったが、声が小さすぎて、僕には聞き取れなかった。
重い足取りで扉に向かうと、一郎が扉を開けてくれる。
「悪いな乱数。こんな所まで来てくれて、依頼、受けられなくてな…」
申し訳なさそうに下を向く一郎の両頬を掴むと、無理矢理上にあげる。
「そんな顔しちゃ、めっ!だからね!一郎にはもっと明るい顔して生きてもらわないと!悲しくなんてダメだよ!それに、依頼の事だって気にしなくても大丈夫♪僕が何とか頑張るからさ!」
明るい言葉と表情で一郎を元気づける。そんな顔してちゃあイケメンが台無しだもんねっ!
「!あぁ、そうだったな!…ありがとよ、乱数」
そう言って頭をくしゃくしゃしてくる一郎が凄く可愛かった。今度僕の服でモデルでも頼もうかな…
「よし、一郎も元気になったら僕は帰るねー!また来るよ!」
「おうよ!その時には豪華なモン食べさせてやるよ!」
扉を開けて、名残惜しく山田家から出る。ゆっくりと扉を閉めて、急ぎ足で池袋駅まで向かう。
一郎でも無理なお願いなんだから自分でやんないとなぁ…
「………さ、ん!」
すると後方から僕を呼ぶ声が聞こえた。
声はまだ幼くて、でも男さを感じられる。
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────三郎くんだ
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あやりな(プロフ) - ACNEさん» 続きはどんどん更新中だからねっ!早く読んで僕の活躍を見ててね!これからもー応援よろしくねーっ! (2019年8月19日 15時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
ACNE - 続きがまちどおし((…ワクワク(#´∀`#) これからも頑張ってください! (2019年8月19日 14時) (レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - まふさん» そーなのー!?それはショック…ってそんな訳ないよ!これからもっと僕の事を好きになってよ!僕も君のこと大好きだからさ!またお話しよ! (2019年7月17日 17時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
まふ(プロフ) - コメント失礼します。らむださん最初はあまり好きではなかったのですがこの小説みてからとっても好きになりました!これからも更新頑張って下さい (2019年7月17日 16時) (レス) id: b1440280f1 (このIDを非表示/違反報告)
あやりな(プロフ) - 叶夢さん» おねーさん、僕の事応援してくれるのー!?ありがとうー!ぜっーたいに!君の事、奪いに行くからねっ!待っててよぉー! (2019年6月16日 11時) (レス) id: 13a7eba215 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりな | 作成日時:2019年5月14日 21時