卑しき狗は笑わない 参

玖拾肆 体目（94体目） ページ19

中「A」



『？なんだ中原』





中「何もされてねぇか」





『？何もされてないぞ』





中「そうか。ならいい」





太「もし何か手出してたら中也が怒っちゃうもんねー？」





中「な、ンなわけねぇだろ！」




『もう、ボコボコにしていたではないか』




太「んー、そうじゃないんだけどね」



芥「心配した」




『そうか？心配をかけたな芥川』





芥川の頭を撫でる。撫でられるだけではなんか嫌だからな。




太「芥川君だけずるいー！私も」




『はいはい』



太宰の頭も軽く撫でる。わざわざ私の身長に合わせて縮んでいるのが余計に腹立つ。




太「〜♪中也もやって貰えば？」





中「お、俺はいい」





『そうか。なら早く帰ろう、中原の料理を早く食べたい』





太「わたしm…「お前はくるな」えー」




『また今度な？』




太「わかったよ」




芥(太宰さんが子供に見える)



ーーー
ーー
ー



ガチャ




バタン




『中原〜、お腹すいた〜』




「わーってるよ。太宰の野郎みてぇなこと言うな」





『マネをしてみた』





「そうかよ。ほら出来たぞ」




そう言って出てきた料理を食べる。





『やっぱり美味いな』




「………心配したんだからな」




『？』




「お前がいなくなって、また俺から離れて、いなくなったのかと思った」






『………私はいなくならない』





「わかってるから早く食べろ」




『了解した』




こうやって会話をしながらご飯を食べるのは、久しぶりだな。




「『ご馳走様』」




二人で皿を洗う、話をする。
無くなるのが怖いなんて、思っていない
………わけではない。


本当は中原も、父や母のように
私を_______




『なぁ中原』



「なんだよ」



『少し見るぞ』




この能力はできるだけ使いたくはないが、
今回だけだ。




『【視報・想狗】』




中原の気持ちを覗く。
私の事についてのみの、思いを。




《大切な仲間……だけど》




だけど？




《………他の感じが混ざってやがる》




他の感じ？……悪い感じではないようだが




『良かった』



「勝手に心を覗くな」



『悪かったな』



嫌われてない。それがわかっただけで
十分だ。



「早く寝やがれ」



『あぁ、おやすみ』




私はいつも通りソファに横になった。
そして……眠りについた。

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