卑しき狗は笑わない 参

漆拾捌 体目（78体目） ページ2

翌日、
私を含めたポートマフィアの戦闘員、
及び幹部である



太宰、中原、紅葉さん、芥川が首領室へと呼ばれた。




幹部の私たちが呼び出されるということは
………きたか。




「君たちに重要な任務を頼みたい」




そういうと一枚の紙を見せてきた。
そこに写っているのは小さな少年




私の予想とは違った任務のようだ。




「この子を見つけ次第、捕まえてここに連れてきてもらいたい」




どうやら今回の任務は、この写真に写っている少年の確保のようだ。




「しかし首領」



芥川が首領の話を遮り何かを問おうとした。
しかし途中で言葉に詰まった。
否、口にすることができなくなった。



「話は最後まで聞き給え、芥川君」




首領が芥川に向けた目は
太宰よりも数倍冷たく、一般市民が見れば血を流して倒れるであろう目だった。

そこにいた全員は首領の恐ろしさを再確認したとともに、身体中に鳥肌がたった。



「見た目からしてみればただの少年だが、
この子は異能力者でね。
しかもその中でも最も忌み嫌われている類の能力を持っている」





この世で最も忌み嫌われている能力
その言葉に息を飲んだのは私だけではなかった





「その能力は、精神異常の能力」





首領はゆっくりと続ける。



「能力の効果は、標的にした者に幻覚を見せ、精神に異常をきたさせる。

標的になった人には体のどこかに手形が浮かんでくるらしい。


異能の発動条件は、標的に触れる、そして人形を破壊すること」





「異能の解除方法はわかっていないが、
太宰君の能力を使えば大丈夫だろう」




首領は太宰をチラッと見る。
太宰はいつも通りにヘラヘラとしているが、
余裕はないようだ。




ここまでの情報があるにもかかわらず私たちを呼んだということはそれだけ要注意しろということなのを、全員は察していた。




首領はその少年の情報書類を見ると
少年の名を静かな声で告げた。





，






「その少年、名は
______________夢野久作」






別名、Qと付け加えていう首領
その顔は何かを楽しみにしている、または期待しているように、うっすらと笑っていた。






「やってくれるね？」




私達は自然と同じことを言った。
否、それ以外に選択肢がなかった。




「首領の命ならば」





その言葉を待っていたかのように首領は





「善い報告を期待しているよ」





少し狂気じみた、笑顔を浮かべた。

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