偽善者は愛を教えた (ページ15)

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ワスレナグサの花言葉ページ15

太宰side

コンコンッガチャッ

太宰『…………広津さん』

広津『太宰殿』

太宰『Aは？』

広津『外に出ています。初任務成功記念で、首領から休みを頂いたようですが、新しい家に１人でいるのは嫌だと聞かなかったので……』

太宰『いや、逆に拠点にいるなら良かったよ』

広津『それならば良かったです』

広津さんと短い会話を済ませたあと、ふとAの机の上にあった花に目がいった。

太宰『…………広津さん』

広津『はい』

太宰『Aって、花とか好きな女の子だったっけ？』

広津『分かりませんが、その花は貧民街にいた時にとある少年から貰ったと話していました』

太宰『…………広津さんは、ワスレナグサの花言葉知ってる？』

広津『……いえ、花にはあまり』

太宰『〝私を忘れないで〟…………時雨が渡したなら分かるけど、知らない少年から？』

広津『そのようです』

太宰『………………』

Aが自分のものになったわけではないが、あの子を渡す気はない。

きっとこの花を渡した少年は、光の世界の人間なのだろう。ならば尚更だ。

太宰『……私も時雨に花を贈ればよかったなぁ』

広津『太宰殿からであれば彼女も喜びますよ』

太宰『でもあの子、雑貨屋とか好きだったからなぁ』

そう考えると、本当に時雨とAは
似ていない。