なんでもない日に ページ33
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ふと、考えることがある。
私がトリップしてきたこの世界は、「私がトリップしてくる」という一つの可能性世界で、本当の世界と並行して存在している無数の可能性世界のひとつにすぎないのではということ。
だとするならば、私が知っている文豪ストレイドックスという世界の道筋どうりにはならないのではないか。そうなってしまったら、私はどうすればいいのだろうか。どうしたものかと悩んでいたら、誰かの声が聞こえた。
「Aさん!」
「えっ、あ、ナオミちゃん」
「大丈夫ですの?先程から表情が険しいですわ」
想像以上に考え込んでいたらしく、私はナオミちゃんが呼びかけてくれていたことに気づいていなかった。
そうだ、そういえばここは武装探偵社だ。いつも通り起きて朝ごはんを作り、出社して、ちょうどお昼を食べ終わってすぐのことだった。
「ううん。大丈夫だよ」
笑いながらそう返答する。
落ち込んでいるわけでもなくただ考え込んでいるだけだったので、ナオミちゃんもなんとなく察してくれたのだろう。特に言及することもなく戻っていった。
なんだか今日は自分の好きなものをたくさん食べたい気分だ。
特別でもなんでもない日だが、今日の夜ご飯は少し贅沢にしてしまおう。オムライスに温野菜サラダ、コーンポタージュに千草焼。あとフルーツにリンゴやオレンジも食べたい。
思い浮かべていたらキリがなくなっていたので一旦思考をストップした。
ふと、太宰さんを探す。
そういえば国木田さんと一緒に調査をしにいっていたんだっけ。
「太宰さんの好きなものも作らないとだよね...」
流石に自分の好きなものだけをつくって自分だけが満足するというのは気が引ける。太宰さんが好きなカニが入った料理をなにか作らなければ。
今日は早めに帰ってサプライズという形で作ってもいいかも知れない。
まだお昼を食べて一時間も経っていないというのに、もうお腹が空いてきてしまった。
今日は少し早めに切り上げて帰ろうと思う。
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国木田さんに交渉をして、今日はいつもより三十分ほど早く帰れるようにしてもらった。もとの世界のアルバイトではありえないのだが、そこらへんの優遇は効くらしい。元々ダメ元で聞いていたので驚いた。
そそくさと自分の荷物をまとめて帰る準備をする。
ちなみに太宰さんは国木田さんと社に帰ってくるなり乱歩さんの付き添いでまたどこかへ行ってしまった。
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そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!とにかく可愛くて、平和で見ていて幸せなお話ばかりで、一気に好きになりました!主様の語彙力と文才も素晴らしくて尊敬します!これからも応援しております!頑張って下さい! (12月30日 22時) (レス) @page33 id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
かっこんとう。(プロフ) - 太宰推しさん» わー!ありがとうございます💞わたしも立原さんと条野さんってどこかで接触してそうだよな…って思って書いたものなので同士がいてとても嬉しいです✨ (12月30日 20時) (レス) id: 0671adeb22 (このIDを非表示/違反報告)
太宰推し - か、、、可愛い、、、てえてえ…何気に立原さんと条野さんとの接触見てみたかったです、、、!之からもお体を崩さない程度に頑張ってください!! (12月30日 4時) (レス) @page33 id: bbcbdad659 (このIDを非表示/違反報告)
かっこんとう。(プロフ) - I am水さん» ありがとうございます🌷.*本誌が辛すぎて少しでも平和を摂取したいと思って作った作品がこれなので嬉しいです!非ログ勢関係なく読んでくださってることが嬉しいので更新頑張ります🙌 (8月12日 10時) (レス) id: 48a9c45d45 (このIDを非表示/違反報告)
I am水 - なんかこう…日常というか…平和な世界線というか…ええ、大好きです。非ログ勢の為、お気に入り登録…?とかはできないんですが、めっちゃ応援してます!!身体こわさない程度に頑張ってください!! (8月11日 14時) (レス) @page32 id: f9c19b65bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっこんとう。 | 作成日時:2023年3月12日 16時