【GIOGIO】我らがジョジョがシスコン過ぎる

40.5 ページ49

男はモニターを眺めていた。


『お嬢さん、とっても素敵ですねえ！わたくし後ろ姿を見ただけでビビッときちゃいましたよぉ！』


イタリアのローカルテレビ局の情報番組。押しの強いアナウンサーにたじろぐ少女が画面いっぱいに映し出される。


『え、ええと』



なんてことのない生中継の映像。



ただ、この後少女が『見えない何かに引っ張られるように』去っていく姿が、一部の界隈では心霊映像としてもてはやされているという。



だが、男の関心事はそれではなかった。



映像を一時停止し、男は引き出しから二枚の写真を取り出す。



写真が写すのは、黒髪の少年と、金髪の少年。

　

ひとりの名は汐華初流乃。日本人とイギリス人のハーフ。母親の再婚で日本からイタリアへ移住する。


もうひとりの名はジョルノ・ジョバァーナ。ギャング組織パッショーネの若きボス。彼がその姿を表して以降、イタリアの麻薬犯罪は激減したという。




二人の異なる髪色の少年は同一人物だった。




少年の写真と、モニターの少女を見比べる。性別、そして浮かべる表情こそ違えど、二人の顔の造りは非常に似ていた──同じ存在から分離したかのように。それは一般的にこう呼ばれる。一卵性双生児、と。



直接出会ったことこそなかったが、男は少年を知っていた。少年すら知らない、少年の父親の正体も。それは、男の宿敵で、かつて打ち倒した吸血鬼だった。

　

吸血鬼の血を継ぐ者が、かの邪悪を受け継いでいたとしたら。男が少年を調べたのもそれを危惧したからだった。


そして、また。



｢DIOの娘、か……｣
　


何も知らない少女は、変わらずモニターの中で困惑の表情を浮かべていた。



to be continued──?

作者より→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す