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｢ブチャラティさん、ですか｣
マスターに写真立てを返し、店を出てから数十分。ようやく見つけたその人は、見晴らしの良い高台からネアポリスの海を眺めていた。
マスターが最後に会ったとき、彼は『金髪の少年』を連れていたという。
｢きっと貴方にも会えると思った。やっぱりハロウィンって素敵ですね｣
導かれるように、惹かれ合うように、私は彼らと巡り合う。兄さん達と出会い、別れた彼らと。
｢……その様子だとアバッキオやナランチャにも会ったようだな。そして、オレ達が『どこ』から来たのかも見当がついている、と｣
こちらへ振り向いたその人は、写真で見るよりずっと綺麗な人だった。
｢オレはブローノ・ブチャラティ。君は？｣
｢汐華A。私は……ジョルノ・ジョバァーナの双子の妹です｣
ブチャラティさんの青い瞳が驚きに見開かれた。
｢まさかジョルノに妹がいたとはな……｣
ブチャラティさんはまじまじと私の顔を眺めていたが、ふと静かに口を開いた。
｢君は、ジョルノが好きか？｣
｢はい、大好きです｣
｢そうか……それは良かった｣
ブチャラティさんは安堵したように息を吐く。
それから彼は、私の両掌をそっと握った。ひんやりとした感覚に何とも言えない気持ちになる。
｢どうか、ジョルノの側に居てやってくれ。きっと君なら大丈夫だろう｣
手が、離れていく。
｢あのッ！｣
慌てて手を強く握り返した。アバッキオさんのように突然消えてしまったら困るから。
．
｢あっ、A様！ちょっといいです？｣
街に戻ると、人混みの中から女の子──シーラ・Eさんが飛び出してきた。彼女の頭には黒いネコミミのカチューシャ。首もとの鈴がりりん、と鳴る。
｢ネコの仮装？可愛いですね｣
｢あ、ありがと……じゃなくて！フーゴを見かけませんでした？一緒に回ってたんですけど、突然どっかに行っちゃって｣
首を横に振ると、彼女は挨拶もそこそこに去った──私の隣に立つブチャラティさんを一度も顧みることなく。
｢実体はあるがほとんどの人に認識されない……この身体は良く分からんな｣
当の本人は真顔でぺちぺちと自分の頬を叩いている。……ちょっと面白い。
｢ところでA｣
ブチャラティさんは私の方を向く。
｢君はオレをどこに連れていくつもりなんだ？｣
私は笑顔で答える。
｢兄さんのところです｣
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
