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あの子、ちゃんとお友達に会えたかしら。
男の子と別れた後も、私はハロウィンフェスティバルを満喫していた。街を彩るジャックオランタンやお化けの飾りは見ているだけで楽しいし、何よりバスケットの中は甘いスイーツでいっぱい。私の心も幸せでいっぱいだ。
ただ、警備のために仮装して巡回しているというフーゴさんやミスタさんには一度も出会えていない。
街中くまなく回ったのだけど、何人か見かけた警備と思わしき人(鋭い目で辺りを見回していたり、トランシーバー片手に指示を仰いでいたりした)の中に私の知る顔はなかった。うーん、少し残念。
｢ご注文のイチゴケーキです｣
そんな考えごとをしている内に、注文していたものがやってきた。大粒の苺は後に取っておくとして、まずは生クリームたっぷりのスポンジを口に運ぶ。……美味しい！
ケーキを運んできたリストランテのマスターに会釈すると、マスターはにこりと微笑む。
今、私が居るリストランテはスイーツ専門の店という訳ではない。だからか仮装のお客さんもそこまで多くなく、店内にはゆったりとした雰囲気が流れている。
｢このケーキ、とっても美味しいですね！｣
｢そりゃあ良かった。うちはスパゲティも旨いんですよ、良ければまたいらっしゃい｣
ふとマスターが窓の外に目をやる。落ち着いたリストランテ内とは対照的に、外は賑やかな喧騒に満ちていた。まだまだフェスティバルは終わりそうにない。
｢このような催しが開けるとは、ネアポリスも平和になったものだ……想像できないかもしれないが、昔のネアポリスは酷い場所でしてね。家なしの浮浪児に、汚職まみれの警察。何より売人が麻薬を子供にまで流していた｣
｢子供にまで……｣
思わず顔がこわばる私に、マスターは安心させるように笑う。
｢大丈夫、今じゃあこの街で麻薬を売ろうなんて輩は居ないから。……ブチャラティさんが知ったら、きっと喜ぶでしょうな｣
｢ブチャラティさん？｣
｢まだ若いのに正義感の強いしっかりした人でね、街中から慕われていたよ。亡くなったと知った時は目の前が真っ暗になったものだ｣
｢……亡くなられてるんですか｣
マスターは無言で頷くと、奥へと戻ってしまう。しばらくすると、右手に写真立てを持って帰って来た。
｢うちの常連で、よく部下の皆さんと来てくださった。一度皆さんの写真を撮らせていただいたことがあってね、これなんだが……｣
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
