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突然の大声に怯んだぼくらを部屋に引きずりこむ(前にも思ったが彼女、意外と力が強い)と、Aは事の真相─秘密のイタリア語レッスンについて打ち明けた。
｢じゃあ、フーゴとは何も無かったと...？｣
｢当たり前じゃあないですかッ！ねえフーゴさん！｣
｢ええ、ジョジョの考えすぎです｣
さっき彼女の言葉にドキッとしたことは当然黙っておく。──何も無かったことがほんの少しだけ残念なことも。
｢なのにぼくは勝手に勘違いして、フーゴに当たって、Aを困らせて...｣
そんなぼくの隣で、ジョジョは赤くなったり青くなったりと忙しい。こんなにしょんぼりしている彼はレアなのではないだろうか。
｢二人とも、すみませんでした｣
｢兄さん、顔を上げてください。別に怒ってる訳じゃあ...そりゃあ、言い合ってる時はちょっと怖かったけど｣
｢うっ｣
今度はぼくが縮こまる番だった。キレると抑えが効かない悪癖はまだ治りそうにない。
｢それに関してはぼくもすみませんでした...｣
｢いえ、確かに驚いたけど貴方は優しい人だって分かってますから！｣
｢久しぶりに君がキレてる所を見て何だか懐かしかったです｣
良く似た顔でまったく違ったフォローをしてくる兄妹が何だかおかしくて、彼らと顔を見合せ笑った。
｢フーゴさん、私がイタリア語を教えて欲しいって言った理由を覚えてますか？｣
しばらくしてからAが話し出した。
｢ジョジョの負担になりたくない、自分もしっかりしたい。シーラEにお礼を言いたい...でしたっけ｣
｢はい。一人でも出来ることを増やしたいし、あの子とちゃんとお話したい。...でも、一番は｣
そこまで言うと、黙って俯いてしまう。
ぼくとジョジョは顔を見合せ、Aが再び口を開くのを待つことにした。
｢......兄さんに褒めてほしかったの｣
顔を上げたAは耳まで赤くなっていた。
｢いつの間に話せるようになったんだい？すごいねって...秘密にしてもらったのもそれが理由です。けど、誤解させてしまって...ごめんなさい｣
深々と頭を下げるA。そんな、貴方が謝ることじゃあないのに。
｢...ぼくの居ない所で頑張っていたんですね｣
ジョジョが、Aの頭を優しく撫でた。
｢その努力に敬意を表します。君はぼくの自慢の妹です｣
｢兄さん...！｣
熱っぽく見つめ合う兄妹。ぼくはすっかり蚊帳の外だが、不思議と悪い気はしない。
良かったですね、Aさん。
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
