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｢兄さんは優しいです｣
イタリア語を教えてほしい。突然の発言に面食らうぼくに、Aはゆっくりと語り出した。
｢手を握って励ましてくれたり、可愛い服をプレゼントしてくれたり。今日もたくさんお話をしました。突然妹が居るなんて言われて困ったでしょうに｣
｢Aさん...｣
──むしろめちゃめちゃ喜んでますし、困っているのは彼に振り回されているぼくの方です、というのは空気を読んで言わないでおく。
｢でも、甘えてばかりじゃあダメだと思うんです。兄さんが優しくしてくれるのは嬉しいけど、負担にはなりたくない。私もしっかりしなくっちゃ｣
ジョジョは、彼女を負担などとは思っていないだろう。だが、Aとしては色々と思うところがあるらしい。
｢でも、今の私は兄さん以外の人とお話することすら...あっ、フーゴさんは日本語を覚えてくださったから、こうしてお話できてますけど！｣
｢そうですね。だが、誰もがぼくのように貴方に合わせて話してくれる訳じゃあない｣
｢...はい。このままじゃあ一人で買い物にも行けない｣
言ってから、少し厳しい物言いをし過ぎたかと後悔したが、Aはショックを受けた様子もなく神妙に頷いている。
｢ここに来たとき、荷物を運んでくれた女の子が居たでしょう？私、あの子にちゃんとお礼を言えなくて｣
｢シーラEのことですか？あいつは元からつんけんした奴なんで、そんなに気に病まなくても｣
｢だとしてもです。彼女にありがとうって伝えたかった｣
ガタン！Aは勢い良く椅子から立ち上がると、深々と頭を下げた。
｢フーゴさんの都合がつく時間で構いませんッ、どうか私に力を貸してくれませんかッ！｣
｢Aさん、顔をあげてください｣
｢お願いしますッ！！｣
──こんなに必死に頼みこまれたら、断るに断れないじゃあないか。
｢...わかりました。ただ、そんなにたくさんは付き合えませんよ｣
｢構いません。でも、このことは兄さんに内緒にしてくれませんか？...話せるようになって驚かせたいので｣
照れ臭そうに笑うAに、黙ってうなずいた。
｢じゃあ、指切りしましょう｣
｢ユビキリ？｣
｢日本の約束です。こう小指を絡ませて...指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます、指切った♪｣
｢針千本飲ます...日本人は物騒ですね｣
ジョジョ相手に秘密を抱える(しかも妹関連で)のは気が重い。だが、Aの笑顔が曇るのは避けたかった。
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
