What I lost.【爆豪勝己】 (ページ9)

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そう言えば此奴に恋話とかをしたことがなかった気がする。しかし、そんなに驚くことではないだろう。

「え、誰だよ其奴。」

「轟焦凍くん。超イケメンの子。」

自慢になってしまうが、私の彼氏は結構なイケメンだ。そして凄く強くて頭も良い、完璧な奴なのだ。
そんな轟くんが何故私なんかを好きになってくれたのかは知らんけど。

「へぇ、あれか。体育祭で2位だった子か。確かにイケメンだなあれ。でもうちの潤の可愛さだって負けてないから。」

何を争っているんだ此奴。イケメンと可愛いは比べようとしても無理に決まっているだろう。
しかし姉は1人で何かに納得し、私が貰った林檎やらクッキーやらを勝手に食べだした。

仕事には行かなくていいのか、って言おうとしたが面倒なので身体を横にして何も知らないフリをしておく。

「そういえばあの子、エンデヴァーの息子なんだっけ？」

「そうだよ？」

「…あの人に挨拶しに行くの、お姉ちゃん怖くて無理だわ。」

「は？」

・

姉のスマホが鳴り出したのをきっかけに、姉は仕事中であったことを思い出し、急いで仕事に戻って行った。

プロヒーローは大変だ。私情を優先してはならない。仕事を放り投げてはいけない。それはどの仕事でもそうだけど、ヒーローは家族がどんな状況でも、死にそうでも、今目の前でヴィランに襲われている他人を助けないといけない。

何故姉は、ヒーローなんかになったんだろう。辛いことの方が多いのに。

まぁ私も、そんなヒーローを目指しているわけなのだが。