What I lost.【爆豪勝己】 (ページ8)

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「じゃあお姉ちゃん仕事戻るね。流石に怒られちゃう！」

「…。」

「なに、どったん？赤ちゃんみたいになってさ。」

自分でもわからず、姉のことを引き止めていた。そして頬には生暖かいものがつたる感触があった。
嗚呼、そう言うことか。

「1番大切な人、姉さんじゃなかった。それってずっと私のこと育ててきてくれた姉さんに失礼な気がしてっ…。それで…。」

「…、」

「お姉…ちゃん？」

「久しぶりにお姉ちゃんって呼んだじゃん。」

あ、本当だ。知らず知らずの内に口から出た“お姉ちゃん”呼び。小学生の頃はそうやって呼んでいたが、今となってはやはり違和感が凄い。

「いいんだよ、寂しいけど、嬉しいから。だってずっとお姉ちゃんっ子だった潤が私以外の人を大事に思えるようになるなんて。」

「…姉さん。」

「あー、姉さんに戻しやがってー！」

「やっぱり姉さんの方が言いやすいから。」

そう言うと、彼女は優しく私の頭を撫でてくれた。つくづく自分はお姉ちゃんっ子だ、と自覚して笑っているとつられて姉も笑っていた。

「でも聞いて。1番大切な人が本当に誰かわからない状態なの。」

「なんで？」

「彼氏でもないし、姉さんでもないし。父さんでも母さんでもない。」

「いや、親父とババアはねぇわな。ってか、潤彼氏いたの！？！？」

「うん？」