【d!】僕らに訪れしライラックの想い 3【+α】 (ページ9)

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『──ん？あんな可愛い子、出演者にいたっけ？』
『え？…あぁ、スタッフさんとかじゃない？』
『あー、でもそれにしてはスタッフぽくない格好だね』
『誰って…カツドウメイだろ、あいつ』
『『『…え？』』』
『ん？』
『…なんで？』
『？いや、まんま声一緒じゃん。背格好も同じくらいだし』
『こえ…』
『…今日が初対面なのに、よく分かったな』

きっくんからの疑り深い目を受けて、自分の口が無意識のうちに動いていたことに漸く気づく。あぁ自分が思っている以上にこの日を楽しみにしていたのかと。妙に冷静な自分が可笑しくて、ひとり笑う様をメンバーに不気味がられたのも懐かしい。

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『お疲れ様でーす。挨拶しに、来ま…し…』
『…お前ならもう隠さなくてもいっか。残念ながら俺しか居ねえぞ』
『…他の三人は？』
『トイレ。しばらく帰ってこねえからウンコでもしてんじゃね』
『……、』
『…何？人の顔凝視して』
『……いや別に…想像よりブサイクだなって』
『○すぞてめぇ』
『あ、もしかして自信あった感じですか？プクスス』
『…喧嘩売るったぁいい度胸じゃねえか』

他の共演者の前では躊躇いなく外すお面も気恥ずかしさが勝り、知り合ってから数年経っても彼女の前で外すことはなかった。けれどそれも次第にその警戒心も薄れ…その日は何の前触れも無くあっけなくやって来た気がする。

『不平等だろゴラァ』
『わ、わかった！わかったから！仮面壊れるってば！』

不機嫌な顔色を隠すことなく近づき、壁際に追い詰めるのは容易いこと。我ながら大人気ないと思いつつも仮面に指をかける。流石にそこまでされると思わなかったのだろう、目下で慌てふためいた様は今思い出しても面白い。そうしてそうこうしているうちに外された仮面の下から現れた瞳と目が合った瞬間…一度見たはずのそれを前に、年甲斐も無く胸を躍らせたっけ。

『ほら、見て得するものでもないでしょ？』
『……』
『……何か言えし』
『…まぁ。初めて会った日の帰りに見たんだけどな』
『は？そんな話初めて聞いたけど？！』
『初めて言ったんだから、そらそうだろ』
『～っ！ムカつくなほんと！』

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