【d!】僕らに訪れしライラックの想い 3【+α】 (ページ34)

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「──もしもし、お疲れ様です」
「"お疲れ様、連絡遅くなってごめんね…カツドウメイの様子はどう？"」
「あー…っと、まぁ概ね大丈夫そうっす」
「"…なにその微妙な返事"」
「いやいや、なんでもないですって！ちょっとその～…俺の別れた奥さんとの話で、込み入った話が出ちゃって」
「"あぁ…そういえばらっだぁさんの元奥さんとカツドウメイ、友達なんだっけ？まぁ…その辺りの話なら、俺部外者だからいっか"」
「…そらるさんって、結構過保護なんすね」
「"………そうでもないと思うけど"」

Aと仲が良いのは聞いていたけど、こうも親身な態度をみせるのは少し意外だった。彼女に対しあたりが少し強いのはその親しさ故なのかもしない。俺の指摘をはぐらかしたかと思えば、わざとらしく咳払いが聞こえてきた。

「"ともかく…カツドウメイが落ち着いているようなら良かった。改めて昼間は駆けつけてくれてありがとう。俺の知り合いにアイツの希望に叶うひと中々居なくて…警察呼ぶにしても付き添いは必要だったし"」
「いえ俺は全然…でもまぁ、さすがに肝冷えましたけど」
「"だよねぇ…今日はもう遅いし、とりあえずこれで終わりにしとくよ。らっだぁさんもゆっくり休んで"」
「そらるさんも、ですからね？」
「"…善処しまーす"」

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──────────…

「…ほんとに大丈夫かよ」

終了ボタンをタップし、ボタンを押して画面を暗くする。こんなにもメンタル面で疲労を感じたのはいつぶりだろうか。東京にも活動拠点を増やしてから、ちょくちょく対面する機会はあれど…さすがにアンチに襲われる現場に鉢合わせるとは思わなかった。百歩譲ってそれ自体は回避できなかったとして…それ以上に引っ掛かったのは、カツドウメイの平気そうに振る舞う素振りだった。というより、正確には"慣れている"という表現のほうが相応しいかもしれない。いよいよ身近に感じていたはずの彼女のことが分からなくなってきた気がする。

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『"──…♪"』
『(……綺麗な声だけど…なんか、悲しそう)』

俺が初めてカツドウメイの歌を聞いたのは、彼女が活動を始めてから半年ほど経った頃。その頃は徐々に同業の活動者が増え、新しいボカロ曲が上がると瞬く間にランキングは俺らのような活動者の動画で埋まっていた。

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