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「いやぁ〜ここは男らしく、カッコいいところ見せたかったんだけどなぁ」
「き、きっくん、あの…──、！」
「ごめん、ちょっとメイク直してきてもらうわ」
立ち上がる動作に合わせて私の頭に軽く手を置き、私の視線を意図的に外す。手が退けた時には既に後ろ姿しか見えず、彼がどんな想いを抱いているのか読み取れなかった。追いかけて引き留める？それともこのまま何事も無かったかのようにする？ぐるぐると思案を巡らせる最中、あろまさんの言葉が脳裏に浮かびあがった。
『"──振った相手に恋愛相談の電話するとか、マジでどういう頭してんの？？"』
『ご、ごめんって…知っての通り、その辺りにおいてはほんと初心者で……どう対応すればいいのか、分かんないんだよ…』
『"ったく…しょーがない。お子ちゃまなAチャンに、特別に教えてやるよ"』
「っ…き、きっくん！」
「ん？」
「……う」
『"多かれ少なかれ、告白ってのはエネルギーを使うもんなの。なんなら人によっては命懸け。だからそれをした相手に対して、掛けるべき声は謝罪じゃなくて…感謝の方がいいに決まってるだろ"』
「──伝えてくれて、ありがとう！」
「…！」
こんな自分をどうして好いてくれるのか。その思いにより自然と相手への謝罪の念が先立っていた。しかしそんな卑屈な考えは相手にも、私にも良いものではない。少しでも前に…昔後悔したことを、過ちを、再び繰り返さない為に。この行動が正しいものかは分からないし自信がないけれど、振り返ったきっくんは、いつもの笑顔が輝いていた。
「…おう！」
──────────
─────…
「あろま」
「ん？」
「…俺もカツドウメイちゃんに告ったわ」
「……は？」
「あ、ちなみにお前同様玉砕なんで。そこんとこヨロシク」
「よろしく、っておま」
収録とはいえ気心が知れた仲での環境。いつも通りスマホを弄るあろまの隣に立ち、普段通りの声音で報告をした。とはいえ流石に話した内容に動揺したのか、珍しく声を震わせこちらを見やる。般若に似合わぬ反応に笑みがこぼれた。
「お前の事は俺が勝手に聞き出しただけで、別にカツドウメイちゃんが告げ口したとかじゃねーぞ？」
「い、いや…俺が聞きたいのはそこじゃなくて」
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2022年5月18日 11時
