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本丸へと続く歪いた階段。かなり昔に作られ、幾度もの戦乱の舞台となった古城は、至る所がその歴史を物語っている。此度もその歴史の一ページに連なるはずだけれど、何故か異様な静けさが空間を支配しているようだった。最後の扉を前に、先程負傷した箇所を応急処置し、機動に支障がない事を確認する。するとまるで私の様子が分かっていたかのように、その重い鉄製の扉が一方的に開放され、部屋の中の光が通路に溢れた。明らかな罠と分かってはいるものの、本丸を目の前に足掻くのは無駄足になるだろう…導かれるように、身を光の中へ晒した。
「──お久しぶりですね、A参謀総長殿。
「……」
「…変わらずお元気そうで何より」
かつてこの古城を治めていた王が使っていたであろう玉座。その椅子を我が物顔で座っていたのは見覚えのある男。最初で最後、顔を合わせたのは今から一年近く前…アリス・マリーゴールドを本国に迎えた時、彼女の父親と称していた人物だ。私が発声できないのを知った上で、こちらが真っ直ぐに睨みつける様を"元気そう"などと例える。あの時の気品のある笑みなどみる影もなく、今の気味悪い嗤いがよく似合っていた。
「既にご存知でしょうが、あの女はS国から提供された人材でしてね…まあ結局、衰弱した標的のひとりも殺せない程、使えない女でしたね」
「《…彼女はまだ生きてますよ》」
「…ほお？やはりあなた方は詰めが甘い！そんな女ひとり殺さないとは、それだから…
「…？！」
突如頭上から紫がかった煙が漏れ出し、一瞬にして広い玉間の端までかけ巡っていく。敵将をはじめ、私を囲むように待機していた十数名はガスマスクを装着しており、万全の状態だ。一方で煙を防ぐ手段を持たない私は、腕で鼻口を覆いはするものの十分な役目を果たす訳もなく。劈くような不快感が体内を巡っていくのがわかる。
「グルッペン・フューラーを無力化できたものの、
マスク越しであるはずなのに、男の愉しそうな笑みが透けて見えるようであった。
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にゃむ吉(プロフ) - アイリさん» コメントありがとうございます。主人公の心情・状況を丁寧に表現したくこのような手法をとりました。少しでも楽しみのひとつになれたのなら幸いです… (2022年6月5日 17時) (
レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - ちゃんと日記のとこ漢字かけなくてひらがなになっていくの好きやわ… (2022年6月4日 22時) (レス) @page20 id: 018c1614bc (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - にゃむ吉さん» 了解です。意図的でしたのなら、口を挟んで申し訳ないです。これからも応援させていただきます。頑張ってください( *˙ω˙*)و ｸﾞｯ! (2022年3月19日 18時) (レス) id: 00820fe97a (このIDを非表示/違反報告)
にゃむ吉(プロフ) - ウイさん» メッセージありがとうございます。指摘いただいた内容については当初は意図した表記だったのですが、読み直すと確かに違和感もありましたので伝えたいニュアンスを含め修正しました。引き続きよろしくお願いいたします。 (2022年3月19日 7時) (レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - 気になったのでご指摘させて頂きます。ps(分かりますか？)のセリフで『あり？』という物がありまして、『あれ？』では無いのかなと思いました。何か意図的にやっているなら申し訳ないですが気になったのでコメント失礼しました。今後も頑張ってください (2022年3月19日 7時) (レス) @page32 id: 00820fe97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2021年7月16日 16時
