にじいろの花束を。[Spring] JW (ページ10)

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桐｢...で? その今日会う予定やった子から返事は?｣

中｢んー、来とらんなぁ｣

桐｢...やっぱ脈ナシやな、次行こ次!｣

中｢んな簡単に切り替えられんって...｣

結局話が戻って、俺のドタキャンくらったエピソードに...。
次だとか言われもさすがに無理やろ...
でもなぁ、、もう次はないんかな...はぁ...

元気だしてや〜とかずっと言ってる照史をほっておいて
スマホの電源を付けたり、消したり...。
どれだけ待っても約束の彼女から仕事が終わったとかの連絡がなく...やっぱり終わりなんかなぁ...

中｢はぁ...、｣

｢ため息吐きすぎると幸せどっか飛んでっちゃいますよ〜? ほら、元気だして下さい!｣

桐｢うわっ! 美味そう〜! 七海ちゃん、これは!?｣

｢お待たせしましたぁ、じゃ〜ん! ドライフルーツのパウンドケーキとカモミールミルクティーで作ったパンナコッタです!｣

中｢おぉ〜、ほんま美味そうやな!｣

久しぶりの《なないろ》
いつもドリンクばかりで、甘いものとかは頼まんのやけど...すごい、さすがオシャレな店や。
美味しそうやし、何より写真映えする見た目。

真っ白なお皿に、ふんわり焼けたドライフルーツたっぷりのパウンドケーキ。
小ぶりのカップに淡いベージュの色のパンナコッタ。

｢目で楽しむのはマトリカリアで、味で楽しむのはカモミールです!｣

中｢俺、ここで甘いの食べるのいつぶりやろ...。ありがとうな、七海ちゃん｣

｢とんでもない! ごゆっくり〜｣

桐｢あっ! 七海ちゃん! ホットコーヒーおかわり下さい!｣

｢はぁい、ちょっと待っててくださいね〜｣

相変わらず可愛いカップに入っているコーヒーからは落ち着くいい香りがして
ふ、と笑みがこぼれる。

ほっとする、優しい味のコーヒー。
うん、変わらず美味い。さすが七海ちゃん。

俺のほっとした顔を見てか、照史がにやにやしながら
｢元気出たやろ〜?｣なんて得意げになってて。
いや、お前が入れたわけじゃないやろ、って思ったけど、きっと照史なりに心配してくれてたんやろな。

照史と仲良くなったのはここ、《なないろ》がきっかけ。
職業はバラバラ。
俺は旅行会社で働いてるけど、照史は保育士。

初めはいつも1人で来てる人おるなーくらいやったけど
たまたまカウンター2席しか空いてない日があって。
で、隣に座ったのが照史。

いつも来てますよね〜って話から、馴染みのある関西弁で話すからいつの間にか仲良うなってた。