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中｢そりゃ、見てればわかるやろ〜｣
桐｢え、そんなわかりやすい!?｣
中｢安心せぇ照史、七海ちゃんは気づいとらん｣
さっきのお返しと言わんばかりに照史の方をぽん、と1回叩いてやった。
あれ、形勢逆転したんちゃう!?
桐｢いや、形勢逆転はしとらんし、声出とるから｣
中｢形勢逆転しとるやろ!｣
｢...なんの話ししてるんですか?｣
桐｢うぉっ、七海ちゃん!｣
｢あ、びっくりさせちゃってごめんなさいっ｣
桐｢こちらこそ、ごめんなっ...お、今日はこれ?｣
｢はい! お花、先にお持ちしました! 今日はこのお花をおふたりに...《マトリカリア》です｣
ことん、と俺らの座っている対面のテーブルの上に置いたのは
白い小さな花、《マトリカリア》と言うらしい。
真ん中が黄色くて花びらが白い...ああ、カモミールに似てるのか。
桐｢ほー、マトリカリア...可愛らしいなぁ｣
中｢カモミールに似とるね｣
｢そうですね、カモミールとは親戚みたいな感じです!｣
桐｢カモミールって、あの〜ハーブティとかの?｣
｢それです! ふふ、照史さんだいぶお花詳しくなりましたね｣
桐｢せやろ〜♪ もっと褒めてもええで!｣
なんて、お得意のドヤ顔で得意げに話す照史。
ほんま、調子だけはええやつや。
にしても綺麗やな、お花って癒される。
たくさんの小さな同じ花がふわっと生けられてるその花瓶もセンスが良くて...
やっぱり七海ちゃんはお花の良さを引き出す天才やなぁ...なんて思ってたら
あれ、これは...種類が違うのか?
中｢七海ちゃん、これはマトリカリアとは違うん?｣
桐｢ん? あ、ほんまや、これ真ん中黄色くないな｣
｢それもマトリカリアですよ! 花びらが多い八重咲きの品種で《ダブルラテ》って名前なんです。カフェっぽいでしょ?｣
ふわっと、優しくお花を撫でながら微笑む七海ちゃん。
こんなにお花を愛してる人いるんだろうか、と思ってまうくらい、いつもお花に優しい。
ほんまにいい子で...ああ、お父さんは君に悪い虫がつかないか心配だよ...。
...ってそんな茶番は良くて。
桐｢へぇ...品種でこんなに雰囲気変わるんや、おもろいなぁ...｣
中｢勉強になるわ｣
｢今日はおふたり分なので、2種類生けてます! サービスですよ〜♪ ...ってことで! スイーツ持ってきます!｣
とてとて、とカウンター裏に消えていった七海ちゃん。
あーあー、照史さん、目が恋する乙女やわ。笑
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
