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赤いスイートピー。
名前は聞いたことあっても、実際に見るのは初めてやった。
ひらひらした花びら、鮮やかな赤色。
繊細すぎて偽物なんじゃないかと思うくらい綺麗やった。
｢それから、、ホットコーヒーも。お待たせしました｣
重｢あ、どうも...｣
｢熱いのでお気をつけて｣
淡いブルーのコーヒーカップにいい香りのコーヒー。
苦いはずなのに、お花の香りがあるからか少し和らぐ。
...うん、美味しい。
重｢うま...｣
｢お口にあったみたいで良かったです｣
重｢あ、あの...｣
｢? どうかなさいましたか?｣
重｢この花、毎回違うんですか...?｣
｢はい、お客様の雰囲気とか...そういうので選ばせてもらってます｣
重｢俺の、雰囲気?｣
｢気分を害してしまったのならすみませんっ、なんか...赤い色のイメージだったので...｣
重｢いやっ、全然! 赤好きですし...｣
｢よかった...、...あの、もしご迷惑じゃなければ少しお話しませんか?｣
重｢え...あっ...も、もちろん!｣
『ななみ』さんからの唐突なお誘い(?)にびっくりしながらも、1人でぼーっと飲むよりは誰か話し相手がいてくれた方がいい。
そう思ってたから嬉しかった。
カウンター越し、少しあるこの距離が、絶妙に落ち着く距離で
なんでも話してしまいそうになる。
やっぱりここは不思議なところや。
｢赤いスイートピー、有名な曲名にもなってるのに、実は曲ができた時に赤いスイートピーは存在しなかったそうですよ｣
重｢えっ! そうやったんですか...?｣
｢はい、元々は白とかピンクとかが主流です。存在しないものを、存在するものにしたって、すごいですよね｣
重｢ですね、、品種改良で出来た花なんや...｣
｢そうです、品種改良ってやつです! スイートピー、花言葉は《門出》とか《別離》って意味があるんですけど...｣
重｢...けど?｣
｢《ほのかな喜び》や《至福の喜び》って意味もあります｣
重｢至福の喜び...｣
｢お客様にとって、このお店で過ごす時間が心地よい時間になっていただきたいなって思って...｣
重｢...｣
｢お客様、少しお疲れのようでしたので...｣
重｢え...、あ、顔に出てました...?｣
｢...ああっ、すみません、立ち入った話をしてしまって...｣
お喋りし過ぎました、と申し訳なさそうにする『ななみ』さん。
驚いた。初対面なのに見抜かれたことに。
...彼女になら、話せるかも。
重｢あ、あのっ...話聞いて貰えませんか｣
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
