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唐突に話聞いて欲しい、なんて言ったもんやから
『ななみ』さんも一瞬びっくりしてて。
でも直ぐに、初めて見せてくれたふわっとした優しい笑顔になって｢もちろん｣といってくれた。
重｢俺、ちょうど半年前くらいに大阪支社から異動になったんです｣
｢あ、だから関西弁...｣
重｢出てます? なるべく隠すようにしてたんやけど...難しいな｣
｢いいと思います、関西弁。ここではいつもの自分でお話してくださいね｣
重｢ありがとうございます。...仕事はやりがいあります、すごく。でも...｣
｢でも...?｣
重｢プレッシャーがすごいんです。大阪にいた時、まぁ成績が良かった方だったから...できる兄ちゃんが大阪から来る〜みたいに言われて｣
｢なるほど...｣
重｢そりゃ、頑張りますよ? でも知らない土地で、慣れない中やるのって...気ぃ使って全然気が休めんくて、、｣
｢...｣
重｢休日も、完全に休めてる感じがあんまりなくて...もう会社と家の往復って感じで...｣
｢それじゃ、疲れちゃいますよね...｣
重｢実は、大阪に戻ろうか悩んでたんです。あまりこの東京の雰囲気に慣れんから...。...でもいいこともあるんやなって、｣
｢...?｣
重｢ここ、見つけて...。すごい落ち着いたんです。気が少しずつやけど休まってる気がして...｣
｢...よかった、｣
重｢ありがとうございます。...あ、えと...『ななみ』さん?｣
｢あ、申し遅れました! 私、七海Aと申します。『ななみ』は苗字で、七つの海と書いて、七海です｣
重｢七海Aさん...、あっ、俺は
｢ふふ、自分でツッコミしてる...流石ですね。重岡さん?｣
どきっ
あれ、、今心臓...どきって...
えぇ、名前呼ばれただけやぞ自分...。
中学生かよ!
なんて、色んなこと頭で考えてたら七海さんからまた名前を呼ばれた。
｢重岡さん?｣
重｢えっ、あ、はいっ!!｣
｢んふふ、いい返事ですね｣
重｢あ、、すみません...｣
｢...重岡さんは、抱え込みすぎ、です。きっと｣
重｢抱え込み...すぎ...｣
｢確かに、それなりに実績がある人が異動してくるなんて聞いたら、期待しちゃいます。人間って見たことの無いものには期待しちゃうものですから｣
重｢はい...｣
｢このスイートピーもきっとそうです。まだこの世にいなかった時、赤いスイートピーってどんなだろうって想像して、期待されたんじゃないかな...｣
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
