真っ赤のラナンキュラス。 Ryusei.F ページ20
藤｢...ってことがあったんよ、どう思う?｣
神｢んー、そやなぁ...｣
｢ふふ、珍しい、おふたりで恋バナ?｣
藤｢おん、そやねん、珍しいやろ?｣
｢流星くん今はお仕事モードって言ってたじゃない｣
神｢それがなんでか気が変わったんやと｣
藤｢普通に仕事落ち着いただけやで｣
｢で、急に恋愛しよーって?｣
藤｢そうそう、...あ、俺が恋愛したら寂しい、とか?｣
｢そんなことありませーん｣
藤｢ははっ、冗談やって!!｣
神｢流星が言うとまじに聞こえるわ、俺が惚れるかと思った｣
藤｢なにいってん｣笑
ずっとやりたかった、昔から好きやったファッション誌の仕事について早5年。
まだAちゃんに出会った時は仕事もバタバタしてて、恋愛するより仕事。とにかく仕事!! って時やった。
この店が出来てすぐくらいからずっとここに通ってて、もうめっちゃなんでも話せる友達みたいになったAちゃん。
俺くらいやない? Aちゃんとか呼んでんの。
向こうも俺の事流星くんって呼んでくれてるしな。
ちょっと優越感。なんてね。
アパレルで働いてる神ちゃんも、ここで出会って仲良くなってよく一緒におる。
同じ関西人やし、歳も近いしで、仲良くなるのに時間なんてかからんかった。
今日も先に来ていた神ちゃんから誘われて
ここ、《なないろ》に来た。
｢流星くん、飲み物どうする?｣
藤｢んー...、今日はカフェオレにしよかな、ホットで｣
｢はぁい｣
藤｢今は春の花?｣
｢そうだよ〜、もし気になるのあったらそれにする? キーパーにある花見てきてもいいよ?｣
藤｢んーん、Aちゃんセレクトでええよ｣
｢わかった、すぐ用意するね。神山さんも、ホットコーヒーおかわりありますけど、いかがです?｣
神｢ありがとう〜、じゃあ...おかわり頂いてもええですか?｣
｢もちろん、流星くんのと同じタイミングで持って行きますね〜｣
カウンター席の、入口側から2つ目の席。
神ちゃんがいつも座る席の隣、コバルトブルーの色が可愛い椅子。
Aちゃんのセンスは俺の好きなテイスト。
何度かファッション誌でも特集組もうと企画して、Aちゃんにオファーしたけど断られてきた。
最初の頃はなんで? って思っとったけど、
最近はこんな素敵な店を誰にも教えたくない、なんて思うようになっとる。
きっとAちゃんは、常連さんのために雑誌とかのらんようにしてるんやろなぁ。
こんな大好きな場所で、気の許せる仲間と過ごす時間が1番最高。
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
