白いアネモネ。 Tomohiro.K ページ12
神｢七海さん、こんばんは〜｣
｢あ、神山さん! いらっしゃいませ!｣
日曜日、仕事終わり、21時前。
俺の癒しの時間。
明日は仕事が休みだけど、基本的に休みの日は家でゲームしたりギターしたり。
そういう時間を大事にしたいからこそ、外でゆっくりするのは仕事終わりがええなって思ってて。
そんな時に見つけたここ、《なないろ》は
カフェなのに何故か夕方からの営業で、夜遅くまでやってる不思議なお店。
神｢ごめんなぁ、こんな遅い時間に...｣
｢いえいえ、とんでもない! お仕事終わりですよね、お疲れ様でした｣
神｢ありがとう、...あ、今日はハーブティー貰いたいんやけど...まだあります?｣
｢はい、ありますよ! ルイボスティーと...、あと今日はレモングラス、レモンバーム、レモンバーベナのミックスハーブティーです｣
神｢すごい、めっちゃレモンづくしやな｣
｢お店の裏で育ててる子が収穫出来たので、すごくスッキリしておすすめですよ｣
神｢じゃあ、そのレモンハーブティー下さい! あとは...お花もお願いします｣
｢かしこまりました、お持ちしますね｣
俺の座る席は決まって、カウンターの真ん中の席。
モスグリーンの色した椅子に惹かれて座ってからずーっとここ。
...たしか、桐山さんと淳太さんは入口から1番遠い2人がけのテーブル席。
元気かなぁ、最近会えてないなぁ。
｢照史さんも淳太さんも、お元気ですよ｣
神｢...えっ! ...声に出てました?｣
｢ふふ、はい。まぁ、少しだけですけどね〜｣
クスクスと笑いながら俺の向かい、カウンター越しにお花の準備をしている七海さん。
今日はなんのお花だろう。
いつもいつもこれが楽しみ。
七海さんが用意してくれる花は、いつも季節感があって素敵なものが多いから、家でも飾れるのがほんまに嬉しくて。
それこそ前付き合っとった子とか、毎回お花飾ってて可愛いね、なんて言ってくれてた。
｢神山さん、お待たせしました〜...今日はこのお花をあなたに...《アネモネ》です｣
神｢アネモネ...ってあの?｣
｢はい、あの最近人気のアネモネです!｣
可愛いでしょ? って優しい顔してお花を見つめる七海さん。
今日はアネモネ。名前はよく聞くけど、ちゃんと見た事がなかった。
大輪の花はなんとも言えない魅力があって、ええな、可愛ええ。
ちょっと和風な、ネイビーの陶器の一輪挿しとの相性も最高に合ってる。
さすがやわ、七海さん。
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
