4 ページ6
「何ですか」
「いや、イケメンだなって思ってさ」
誰が、と訊くまでもなくそれが相葉さんを指していることはわかる。
自分だってイケメンって言われてるくせに…
オレは多少の僻みを感じつつ苦笑した。
「あの人でしょ？ニノのことを虜にした店長さん」
「ちょ、先輩っ！」
「いや、話には聞いてたけど…なんていうかお店も彼もすごく落ち着いてて優しい気持ちになる場所だね」
素直に褒められて照れくさいような何とも言えないむず痒い気持ちになる。
自分自身が褒められたわけじゃないけど、自分が好きなものを認められたってことが単純にうれしかった。
先輩が改めて店内をゆっくりと見回す。
カウンターの後ろに並んだ紅茶の茶葉の入った缶、木の温もりが感じられる使い込まれたカウンターやテーブル。
そこに紅茶とお菓子の香りが混ざり合ってできる独特の空気はコーヒーを出す店とは少しだけ違った落ち着いた雰囲気を持っている。
先輩は視線を戻すと今度は相葉さんの手元を見はじめた。
長い腕に節張った大きな手が流れるような仕草で紅茶の準備を整えていく。
それはやっぱりプロの仕事で、いつ見ても見惚れてしまう。
そうこうしているうちにお湯が沸いてオレたちの前にケーキと紅茶が運ばれてきた。
「砂時計が落ちたらカップに注いでください。熱いので十分気をつけて。それからこっちはサービスのメレンゲです。よろしかったら一緒にどうぞ」
そう言って最後に小さなお皿に乗った可愛い形のお菓子が出てくる。
先輩がそれに目を丸くして言った。
「うわ、至れり尽くせりじゃん」
「ふふ…いいでしょ」
思わず自慢げに言ってしまう。
すると先輩はそんなオレに一瞬驚いて、そしてすぐに目を細めて笑いながら頷いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 444人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LILY(プロフ) - 穂子さん» 穂子さん、ありがとうございます。こちらこそ、いつも読んでくださって本当にうれしいです。楽しみにしてくださってるなんて尚更！今年はまだ恋の入り口に立っている二人が多かったかな…少しずつ心の距離もそして身体の距離も縮まっていっている姿をお届けしました♪ (2020年6月23日 3時) (
レス) id: de76939beb (このIDを非表示/違反報告)
穂子(プロフ) - LILYさん7周年おめでとうございます。そしてずっといつも楽しませて頂きありがとうございます。One year later…毎年とても楽しみで…今年もどのお二人も愛情をより深めているお姿がみられてとても嬉しかったです。今年も素敵な時間を本当にありがとうございました。 (2020年6月22日 8時) (レス) id: 4ccb827e4b (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - taekoさん» taekoさん、読んでくださってありがとうございました(≧∀≦)BE MINEの二人、気に入っていただけてうれしいです♪合わない間のブランクを少しずつ埋めていって、やがて気持ちが追いついて…今はまだその途中かもしれませんが二人の未来はきっと幸せだと思っています♪ (2020年6月22日 2時) (レス) id: de76939beb (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - えーすさん» えーすさん、いえいえ…そう言っていただけるだけでもう本当にうれしいです。いつもありがとうございます(≧∀≦)前を向いて少しずつ進んでいきましょうね！お話がその中でちょっとでも楽しく過ごす時間になればうれしいです。私の方こそ支えられています、ありがとう♪ (2020年6月22日 2時) (レス) id: de76939beb (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - ちえさんさん» ちえさん、最後までお付き合いいただいてありがとうございました♪ふふふ、私の中ではこのお話のニノはどこかまだ不安なのかな、と。ある意味恋している最中なのかも（笑）ちょっとずつ段階を踏んで気持ちを深めていって欲しい！盛大に照れるニノももうすぐ見られそう♪ (2020年6月22日 2時) (レス) id: de76939beb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LILY
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Colorfulstory/
作成日時：2020年6月2日 4時
