7人の執事2

心配(Y) ページ9

『Y』






(何で二人とも電話出ないんだよ…)






…Aとニカが帰ってこない。






残った二人分の夕食を冷蔵庫に入れる。


夕食が終わると大抵みんな自分の部屋に戻っているけれど、今日は全員残っていた。

みんな、何も言わないけれど本当は分かっているんだろう。




宮田と裕太は落ち着かない様子に見えた。
太輔とミツは難しい顔をしたまま何も喋らずにいる。

俺は…
さっきから電話をかけたり外の様子を気にしたり、そわそわしている。






………。







沈黙を破ったのは宮田だった。




「いや〜…よくあるよね！身分の違う二人が周りの反対を押し切って駆け落ちっていうね」

宮田の妙に明るい声が空気を凍りつかせる。

「バカ！縁起でも無いこと言うなよ、アニメの見過ぎだって」

そう言う裕太の顔も青ざめている。





「……。」



ミツ、表には出さないけれど一番動揺しているんじゃないだろうか。

最年長だから言いたくないこともAに言わなければいけない立場だ。
二人の意見が対立してしまうことも今まで何回かあった。

でも、Aのことを考えてのことだ。
今回だって…
ミツにも葛藤があっただろうと思う。








もう一度電話をかける。





…出ない。






行き先は聞いていた。
Aが海を見に行きたいと言ったらしい。



確かその辺りは…









「ごめん、太輔。ちょっといい？」


ずっと俺の気持ちを応援してくれていた太輔に頼むのも心苦しいけれど。









(俺はAの幸せを願ってる)

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