7人の執事2

玉森くんの部屋 ページ7

何も前進しないまま、時間だけが過ぎて行った。


何も、解決していない。
お見合いの日が近づいてくるだけ…









「A」

優しい声に振り向くと、玉森くんが居た。


「あ…玉森くん」

「A、今日はこれから俺の部屋に集合」

「え？」






玉森くんに連れられて行くと、部屋の中には宮田くんも居た。



「おっ。A！」

にこにこした笑顔で迎えてくれる。
玉森くんの部屋でアニメを見ているようだった。



「座りなよ、はいAの分」

用意してあったのか、玉森くんが飲み物を渡してくれる。

並んでソファーに座る。


「……？」







宮田くんはテレビを見ているし、玉森くんは一人でボーッとしている。






なんでここに呼ばれたんだろう…







しばらくのあいだ、よく分からないままその場に居た。






そういえば、最近はお見合いの話や、北山さんに何て伝えたら…ってことで頭がいっぱいだったから、こうして何も考えずに過ごすことってあまり無かった。






この時間に、ちょっとだけホッとする。









「…Aのしたいようにしたらいいと思うよ、俺は」

急に、玉森くんが言った。

「えっ…？」






「俺たちはみんなAの味方だから」






玉森くんはいつものように柔らかい口調で、でも、きっぱりと言った。








…びっくりした。


元気づけるために部屋に呼んでくれたんだと気づいて、胸の奥が温かくなる。




私が何も言えずに見つめていると、玉森くんは少し照れ笑いのような笑顔になった。
すごく優しい表情だ。






「ありがとう…」









ありがとう。
前に、進まなきゃ。

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