マジックアワー【安井謙太郎】［完結］ (ページ8)

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「おっ似合ってんじゃーん！」

「似合ってんじゃーん！じゃないよ、なんかあんたさ、私を利用しようとしてない？」

「俺の親戚とメシ食うだけだよ。」

「こわっ。こわいよ。メシ行かね？のメシとは訳が違うよね！？ちゃんと一から説明してよ！」

「うるさいなぁ、お前は俺の横でにこにこしてればいいから。」

「私署名と押印だけはしないから」

「なんも契約しねえよ笑お前は、おれの婚約者のふりをするだけ。」

「まあなんかそんな気はしてた」

「おお、頭良くて助かる。指輪ももってて助かる〜」

昨日外して置いておいてはずの私の婚約指輪を、その男はちゃっかり持ってきていて、ふたたび私の薬指にはめた。

「最低」

.

訳も分からず和室の個室に通されて、タクシーで渡されたプリントにもう一度目を通す。そこに書いてあるのは容姿端麗、頭脳明晰、私とだいぶかけ離れた女性。まるで違う世界にいるお姫さまのようだった。

3ページ目に、目を落としながら考える。

仮にもこんな女性を、両親に合わせようとする安井くんって、一体何者なんだろう。