マジックアワー【安井謙太郎】［完結］ (ページ6)

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「おい、起きろ。メシ行くぞ。」

「ンン゛………」

目を開けると、そこには二日酔いとは無縁の安井くんのすっきりした顔があって。やばい、私は咄嗟に自分の顔面を手で覆う。絶対に今めちゃくちゃ浮腫んでいる。あと髪も絶対ボサボサ。ああもう手だけじゃ隠せる面積が少なすぎる。

「…水ください」
喉が渇きすぎてガッサガサの声が出る。

「メシ行くよ」

「一人で行きなよ32だろ…」

かぶっていた掛け布団を勢いよくバサァ！って剥がされた。
「32がこんだけピンピンしてんだ24のくせに二日酔いなんかしてんじゃねえ！」

無茶苦茶だ。

.

めちゃめちゃ追い立てられて、準備をする。

「時間ないから！早くして！」

「なんでそんな急いでんの！？ねえ！」

「もう服とかメイクとかどうでもいいから！」

「私がダメだから！！」

10分で家を出て、タクシーに押し込まれる。

「はぁ、意味わかんない、疲れた。」
タクシーでぐったりする。二日酔いで気持ち悪い。てかタクシーを昼飯食べに行くだけに使うな。どんだけ金持ちなんだよ。なんなんだこの人は…。

「はい、これ。覚えて」

「は？」

そこには、誰かのプロフィールがずらっと並んだA4の紙が3枚。

「早稲田大学文化構想学部卒、文部科学省入省、在職中。うっわぁ絵に描いたようなエリート〜。誰これ」

「お前」

「違うし」

「あと30分くらいで着くから〜それまでにこれ覚えて」

10行読んでプリントを放り投げた。酔った。